駅構内や電車内での抱擁やキス…どこまでいったら「公然わいせつ罪」に?

■どこまでいったら「わいせつ」と判断されるのか

刑法の条文にも判例にも明確な基準がなく、結局個々の具体的事例によるしかないので、難しいところですが、公然わいせつ罪の保護法益である健全な性道徳、性秩序を害するかという観点を加えてみるべきでしょう。

つまり、同じ行為でも、戦前と現代では異なった結論となることがありうるということです。

そうすると、例えば、現代では、夜の公園や人通りの少ないところでキスをしている人はそれなりにいますので、電車内や駅構内でのキス、抱き合うことくらいであれば、公然わいせつとならない可能性が高いでしょう。

迷惑行為であることには間違いないですが、電車内の椅子に座る男性に女性にまたがるようなことも、公然わいせつとまではいえないでしょう。

他方、男女の少なくとも一方が全裸に近い格好でいた場合は、抱きあったりしていなくとも、公然わいせつとなる可能性が高いです。

わいせつ性の判断基準は不明確で、いずれも具体的な状況における善良な社会秩序を害するといえるかどうかがポイントになるでしょう。

 

*この記事は2014年9月に掲載されたものを再編集しています。

*著者:弁護士 星野宏明(星野法律事務所。不貞による慰謝料請求、外国人の離婚事件、国際案件、中国法務、中小企業の法律相談、ペット訴訟等が専門。)

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*twoKim images / Shutterstock

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星野宏明
星野 宏明 ほしのひろあき

星野・長塚・木川法律事務所

東京都港区西新橋1‐21‐8 弁護士ビル303

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