契約社員やパート・アルバイトは知っておきたい「雇い止め」問題への対応策

■自分の勤務先に雇い止め問題が起こったら、何をすべき?

今後、非正規雇用という働き方を選ぶ上で、想定すべきことや注意すべきことがあれば教えてください。

「マスコミでよく使われる『正規雇用』や『非正規雇用』、『契約社員』や『正社員』という呼び方は、そもそも法律上の概念ではありません。しかたがって、それだけでは正確に雇用条件を把握できないでしょう。

以前からいる『正規雇用』や『正社員』とほぼ同じ待遇で、期間が有期という違いしかない『非正規雇用』や『契約社員』もいれば、無期雇用の『正規雇用』や『正社員』でありながら、『非正規雇用』や『契約社員』のような地域限定や勤務時間限定の採用であるといった、通常と異なる待遇のケースもあるからです。

採用の際に、雇用期間や勤務時間、転勤の条件、職務内容等、労働条件の待遇を契約書でよく確認することが重要です。」(星野弁護士)

一昨年大きく報道された、早稲田大学の非常勤講師雇い止め問題は、反対する組合が大学当局を労働基準法違反で告訴し、2015年11月に和解したことで、他大学にも非常勤講師への雇い止めが波及する不安が解消されたかのように思われました。

しかし、今年6月には、東北大学が3000人を超える非正規教職員を「雇い止め」しようとする動きがあることが報道で伝えられています。非正規雇用者の多くは、自分の身にも雇い止めの問題が起こるのではないかと不安に感じている方も多いでしょう。

本来であれば「無期転換の5年ルール」は有期契約の労働者に新たに与えられた権利です。労働契約法を正しく理解し、無期転換に向けて準備しておくことが大切です。

 

*取材協力弁護士:星野宏明(星野法律事務所。顧問法務、不動産、太陽光自然エネルギー、中国法務、農業、不貞による慰謝料、外国人の離婚事件等が専門。)

*取材・文:塚本建未(トレーニング・フットネス関連の専門誌や、様々なジャンルのWebメディアを中心に活動するフリーランスライター。編集やイラストも手がける。塚本建未Website 「Jocks and Nerds」)

【画像】イメージです

*わたなべ りょう / PIXTA(ピクスタ)

【関連記事】

「働き方改革」でどう変わる?「残業トラブル」でチェックしておきたい事例を弁護士が回答

上司の「パワハラ」で出社がツラい…やめさせるためにおぼえておきたい2つの方法

勤務時間は本当に短くなる?「プレミアムフライデー構想」のメリット・デメリット

違反件数が過去最多!「下請法」で知らないうちに違反しないための気をつけるべき4つのポイント

36協定の見直しで何が変わる?根強い「残業トラブル」の法的問題を弁護士が解説

コメント

コメント