夫がママ友と自分の悪口で大盛り上がり…離婚の原因になったとき慰謝料は請求できる?

■では「不貞行為」はどこから?

「そもそも、不貞行為とは、夫婦が負う貞操義務に対する不履行を意味します。貞操義務とは、『夫婦が互いに性的純潔を保つ義務』です。要するに、配偶者以外の人間と性的なことをするなという意味です。肉体的な関係がない以上、貞操義務に反することにはなりませんので、不貞行為となる余地はありません」(河野弁護士)

つまり万が一、配偶者がよその誰かと心を通じ合わせていても、肉体関係がなければ不貞行為とはならないのです。

 

■「肉体関係」の法的なボーダーラインは?

とはいえ、肉体関係にも手をつないだり、キスをしたり、その先も…と段階があるわけで、いったいどこからが「肉体関係」と認定されるのでしょうか?

「これは難しい話だと思います。性行為はもちろんアウトですが、具体的に考えると、膣に陰茎を挿入しなければいいのか、とか、口淫は、手淫は、という問題が生じます。不貞行為の意味を考慮すると、こういった行為はアウトとみなされるように思います。手をつないだり、キスをするくらいでは、『性的な行為』とみなしがたいので、不貞行為とまでは言われないのではないでしょう。

また、肉体関係がなかったとしても浮気相手との関係性によっては不貞行為とは別の事情、すなわち、『⑤婚姻を継続しがたい重大な事由』の方に引っかかって、離婚原因にはなりえるのではないかと思われます。」(河野弁護士)

性交がなくても肉体関係とみなされるケースがあるし、肉体関係とみなされなくても、離婚条件として認められるケースがあるということです。離婚訴訟を考える時は、“法律ではどう解釈されるのか?”という視点が大切になってきます。

 

*取材協力弁護士:河野晃 (水田法律事務所。兵庫県姫路市にて活動をしており、弁護士生活6年目を迎える。敷居の低い気軽に相談できる弁護士を目指している。)

*取材・文:フリーライター 岡本まーこ(大学卒業後、様々なアルバイトを経てフリーライターに。裁判傍聴にハマり裁判所に通っていた経験がある。「法廷ライターまーこと裁判所へ行こう!」(エンターブレイン)、「法廷ライターまーこは見た!漫画裁判傍聴記」(かもがわ出版)。)

【画像】イメージです

*Antonio Guillem / Shutterstock

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