トラブルを避けるために「遺産相続をする側」が知っておくべき3つのポイント

②法律上の原則を知っておく

相続人の範囲、遺言で書けること(遺言の効力の範囲)、遺留分制度の内容、相続税がどのような場合にかかるのか等々、法律上の原則がどうなっているかについて、相続人の間で共通認識を有しているほうが相続トラブルを防ぐことができるでしょう。

相続人間で共通認識を持つことによって、騙す気はなかったにもかかわらず間違った発言をした相続人の1人に対し、他の相続人が「騙された!」という感覚をもってトラブルの端緒となったり、もっともらえると期待していた(!?)のに思い通りの相続が行われかった相続人が分割協議に応じなかったりする可能性を低くすることができるといえます。

なお、法律上の原則ではありませんが、1人の弁護士が利害の対立する相続人複数名の代理人にはなれない、ということも覚えておいておくといいと思います。

③他の相続人に相談してから行動する

「葬儀費用として必要だから、喪主になるであろう私が預金を凍結される前に下ろしておかないと。葬儀費用の足しとして私が払った分は、後の遺産分割で考慮されるはずだし、弟もわかってくれるだろう。」などと、他の相続人に相談しないで勝手に行動すると、だいたいトラブルが起こることになります。

上記の例の中だけでも、喪主に誰がなるかという問題、被相続人の預金を勝手に下ろしてしまうことの問題、葬儀費用の額の問題、分割協議の中で喪主が支出した葬儀費用分が考慮されない可能性の問題と、相続トラブルのきっかけとなり得る問題点がたくさん含まれています。

被相続人が亡くなった後は、悲しみに暮れている中でも急いで決断しなければならないことは多いですが、相続人たちの間で話し合わずに行動することはなるべく避けるべきです。

 

相続人側としても、前回の記事と同じように、事前または相続直後に弁護士や税理士に相談してから行動すること、家族を大事に思う心をもって普段から生活することが、トラブルを避ける一番の方法だと思います。

 

*著者:弁護士 木川雅博 (星野法律事務所。通信会社法務・安全衛生部門勤務を経て、星野法律事務所に所属。破産・再生・債務整理を得意とする。趣味は料理、ランニング。)

【画像】イメージです

*マハロ / PIXTA(ピクスタ)

【関連記事】

遺言書だけが全てじゃない!相続トラブルを避けるために気をつけるべき3つの項目

【弁護士が解説】できれば避けたい夫婦間の生活費トラブル…法律で決まりはあるのか?

もしも「DV被害」にあったとき、押さえておくべき4つの対処法

【離婚後の問題】お金持ちと再婚した元妻に、養育費を支払い続ける義務はあるのか

法的に定義があいまいな「モラハラ」。家庭内問題のケースではどのような法的措置が実行される?

木川 雅博 きかわまさひろ

星野・長塚・木川法律事務所

東京都港区西新橋1-21-8 弁護士ビル303

コメント

コメント