最近、Tシャツの上にブラジャーを着用するというファッションが女性誌で掲載され、噂になっています。でも、ブラジャーを表に出すのですから、性的な目線で見る人も中にはいるかもしれません。
このようなファッションで外出することについて、「公然わいせつ罪」などの犯罪は成立しないのでしょうか? 水田法律事務所の河野晃弁護士に聞いてみました。
「判例上、わいせつの意義は“徒に性欲を興奮又は刺激せしめ、且つ普通人の正常な性的羞恥心を害し、善良な性的道義に反するもの”とされています。簡単に言えば、“普通の人が特にエッチだと感じるもの”という意味です。Tシャツにブラジャーという女性のファッションを見て“エッチだな~”と思う人もいるかもしれませんが、肌や胸部、陰部等が特別に露出していない以上、特に何とも思わないという人が多いのではないかと思います。また、Tシャツの形状や薄さによっても人それぞれ感じ方は違うと思いますので、一概にこれが“わいせつ”だということはできないのではないかと思います。」
■普通の人が見てエッチだと思うかが罪の分かれ目
「公然わいせつ罪」が成立するためには、まずもって当該ファッションが「わいせつ」だといえなければなりません。そして、判例上は、普通の人がみてエッチだな~と思うものでなければ「わいせつ」だとはいえません。
今回のようなTシャツにブラジャーを上からつけるというファッション自体、特に体の露出があるわけではなく、ブラジャー自体も本来的な下着というよりこのファッションのために作られたアイテムを着用するでしょう。ですから、普通の人がみても「エッチだな~」とは思わないでしょう。
*取材協力弁護士:河野晃 (水田法律事務所。兵庫県姫路市にて活動をしており、弁護士生活6年目を迎える。敷居が低く気軽に相談できる弁護士を目指している。)
*取材・文:フリーライター・益原大亮(法律関連の記事の執筆を専門として活動しているライター。自身も平成28年の司法試験に合格し、弁護士になる準備をしているところである。)
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