もしも「DV被害」にあったとき、押さえておくべき4つの対処法

「DV防止法」が施行されてから、10年以上が経ちます。この法律が成立する以前は、不法行為ということで民法上対処してきましたが、DV防止法の良いところは、裁判所から「保護命令」を出してもらえることです。

従って、この保護命令を出してもらえることを念頭に起きながら、証拠作りをしていかなければなりません。

また、この法律が施行されて以来、家庭裁判所におけるDV関連の離婚調停などでは、待合室の階数を相手方とずらしてくれたり、出頭時間に時間差を付けてくれたりと、色々と配慮をしてくれるようになりました。

それと、この法律の言う暴力とは、人の身体に対する暴行と、生命、身体に危害を与えかねない脅迫を指し、そこに到達しない精神的暴力や経済的暴力などは、含まれないことになっています。

これらについてはそもそも立証するのが難しい面がかなりあり、民法上も不法行為とは認定しきれないものが多いことから、慰謝料の対象にはなりにくいですが、離婚原因にはなり得ますので、それなりの証拠固めをしておくべきだと思います。

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画像:https://pixta.jp/

●(1)暴行と脅迫にあったらまず「証拠収集」

暴行と脅迫について共通して言えることは、いずれも刑法上刑罰の対象になるということです。

ということは、警察が介入できる案件ということになります。ただ、警察も何も証拠がないと立件してくれるわけではないので、それなりの証拠作りをして行くことになります。

暴行によって怪我をしたということであれば、その怪我の状況を写真でおさめる、病院に行って診断書を取る、日記に付けておくなどが有効かと思います。

脅迫であれば、聞いていた人の証言を取る、日頃から録音をする癖を付けておく、隠しマイクを仕掛けるなどが有効かと思います。

脅迫は、必ずしも口から発する言葉だけによるものではありませんので、これがメールやLINE、手紙によってなされた場合には、そのデータを取っておくことが肝要かと思います。特に、LINEなどの気軽に発信できるツールでは、知らずうちに横暴な言葉を発しやすいのか、格好の証拠になることが多いように思います。

メッセージを受け取ると怖いから消しくなる、という気持ちもよくわかりますが、消さずに取っておくことが重要です。

 

●(2)証拠を集めたら警察へ

このような証拠が集まったら、直ぐに警察に相談に行きましょう。警察では、相談票を発行してくれますので、是非もらって来てください。

DVを問題視するということは、基本的に離婚を有利に進めようということに直結するかと思います。警察で立件化されなかったとしても、あまり気にする必要はなく、本丸の離婚調停で有効活用できるようにすることに主眼を置いた方がよろしいかと思います。

 

●(3)DVから避難する

避難の方法としては、相手を遠ざけるか、自ら逃げるかのどちらかになるかと思います。

DV法による保護命令をもらうのの一つの手ではありますが、弁護士選びから裁判所への申し立てなど、それなりに時間もかかりますので、自ら逃げる手段を選ぶことの方が多いかと思います。

その場合には、シェルターがありますので、お近くの役所や女性センターで相談されることをお勧めします。

特に、お子さんをお連れになって逃げる場合には、なかなか匿ってくれるところもないかと思いますので、シェルターへ逃げるのが必至かと思います。シェルターにいられる期間はそれなりに限られますが、その後母子寮に移るなどの手段もありますので、先のことを考えずに、シェルターへ行きましょう。

 

●(4)弁護士への依頼

通常、この状況から離婚調停に進むのが一般かと思います。DV夫相手に離婚交渉などできるはずもありません。お金がないことも多いかと思いますが、法テラスを利用して、弁護士を雇い、離婚調停を依頼するのがよろしいかと思います。

 

*この記事は2015年1月に掲載されたものを再編集しています。

*著者:弁護士 小野智彦(銀座ウィザード法律事務所。浜松市出身。エンターテイメント法、離婚、相続、交通事故、少年事件を得意とする。)

*Ushico / PIXTA(ピクスタ)

小野智彦
小野 智彦 おのともひこ

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