毎朝、満員電車に揺られて通勤をしている方も多いと思います。
満員電車で足を踏まれて骨折した、肩がぶつかってトラブルになったなど、満員電車ならではのトラブルも絶えません。このような状況では自分が加害者にも被害者にもなりえます。
自分が怪我をさせてしまった場合でも、わざとやったのでなければ傷害罪や暴行罪になりません。しかし、不注意によって近くにいた人に怪我をさせた場合、過失傷害罪や民事上の不法行為となる可能性があります。
■揺れる事が分かっていながら怪我をさせたらどうなる?
過失傷害罪は、過失によって人に怪我をさせた場合に成立する犯罪です。
過失というのは不注意のことですが、こうした状況であれば、こういうことが起こって人に怪我をさせるだろうことは誰でも予想できるはずだし(=結果の予見が可能)、そうであればこのようにして簡単に人に怪我をさせないようにすることができるんだから(=結果の回避が可能)、そうして人に怪我をさせないようにすべきだったにもかかわらず、そうしなかった不注意のことです。
電車内ということであれば、カーブや落差の激しい所で電車が大きく揺れ、自分の身体が電車の揺れに耐えきれずふらついて周りの人の足を踏みつけてしまったり突き飛ばしたりして人に怪我をさせてしまうことは誰でも予想できるはずです。
また、そうであれば、空いている席に座ったり、つり革や手すりに掴まったりして、身体がふらつかないようにして周りの人に怪我をさせないようにすることも簡単にできるわけですから、そのようにして人に怪我をさせないようにすべきとも言えます。
それにもかかわらず、空いている席に座ろうとせず、つり革や手すりに掴まろうともせず、身体がふらついて周りの人に怪我をさせたのであれば、不注意、過失があったと言えるわけです。
過失傷害罪に当たる場合、被害者の告訴がなければ起訴されたり処罰されることはありませんが、告訴されて起訴された場合、30万円以下の罰金や過料という形で処罰される可能性があります。