女子高生と付き合っていた成人男性はナゼ「未成年者誘拐」で逮捕されたのか?

●今回のケースで男性を逮捕したことは相当か

報道によれば、(1)男性は出会い系サイトで女子高生と知り合い、その後LINEで「俺んとこ来るか。」などと呼びかけていたこと、(2)男性は女子高生の両親と一度も連絡していないこと、(3)逮捕の3か月前、女子高生を深夜に連れまわすという条例違反の容疑で任意で捜査されていた際には「女子高生とはもう会わない」と言っていたこと、(4)今回警察官が自宅に事情を聞きに行ったとき、男性は会社を無断欠勤した上で女子高生を県外に連れまわしていたこと、(5)男性は県外で携帯電話を解約していたことなどの事情が明らかになっています。

これらの事情が本当であれば、男性が真剣な交際をするつもりかどうか、また、女子高生が真意から同意しているかが疑わしく思えます。そして、男性と女子高生の居所がつかめなくなったことから緊急性も高かったといえます。

最近は少年少女が事件に巻き込まれて殺害される事件が多いことも併せ考えると、今回のケースで男性を逮捕したことは不相当とはいえないでしょう。

 

●場合によっては不起訴もありえるが・・・

もちろん、逮捕・勾留して捜査した上で、「真剣な交際だけれど両親が絶対に反対するから内緒で駆け落ちするしか方法がなかった」等、男性が甘言や誘惑によって無断で連れまわしたわけではなく、女子高生が真に同意していたのであれば男性を不起訴とすべきかもしれません。

ただ、両親に一切連絡していないというのはかなりのマイナス事情だといえます。

20代や30代の男性が女子高生と交際すること自体は悪いことではありませんが、真剣な交際を前提にきちんと手順を踏まないと犯罪となりますので要注意です。

 

*著者:弁護士 木川雅博 (星野法律事務所。通信会社法務・安全衛生部門勤務を経て、星野法律事務所に所属。破産・再生・債務整理を得意とする。趣味は料理、ランニング。)

木川 雅博 きかわまさひろ

星野・長塚・木川法律事務所

東京都港区西新橋1-21-8 弁護士ビル303

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