先日、16歳の女子高生を無断で連れまわしたとして20代の男性が未成年者誘拐罪で逮捕されたというニュースがありました。
この女子高生は男性に好意を持っており、同意の上で男性のマンションに行くなど男性と行動を共にしていたようですので、インターネット上では「同意があるのになんで逮捕されるのか」、「家出少女と一緒にいてあげたら逮捕されてしまうのか」などと疑問の声が上がっていました。
そこで、今回は、同意があるのになぜ誘拐に当たるのかということと、誘拐に当たったとしても逮捕するのは相当かどうかということについて解説したいと思います。
●未成年の同意があっても未成年者誘拐罪が成立することがある
裁判例は、未成年者の同意があっても未成年者誘拐罪が成立すると判断しています。なぜかというと、未成年者誘拐罪が保護しようとしているのは「未成年者の身体の自由・安全と監護権者の監護権」の両方と考えられているためです。
今回のケースは、両親が男性と一緒にいることに同意していなかったため、未成年者誘拐罪が成立することになります。
これに対して、未成年者誘拐罪が保護しているのは「未成年者の身体の自由・安全」のみと考える見解や、監護権も保護されるが未成年者に十分な判断能力がある場合は違法ではないと考える見解からは、今回のケースの場合に未成年者誘拐罪は成立しないといえる余地があります。
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