■言い出した人の責任?
言い出した人は、おそらく軽いジョークのつもりで書込みをしたのではないかと思います。
しかし、警察に110番通報が相次げば、その通報に対して警察は無視するわけにもいかないので、逐一対応する必要があります。そのため、その分他の業務が滞ることになります。
そして、Twitterに投稿したということは、あえて他の人にもそのデマを信じさせて110番通報をさせようという意図があったか、少なくとも、他の人が110番通報をしても構わない、と考えていたと評価できます。つまり、故意(未必の故意)があったといえます。
したがって、警察の業務を妨害したものとして、業務妨害罪が成立する可能性があります。
なお、警察は公務員なので、公務執行妨害罪が成立するのでは?と考える人もいるかもしれませんが、これは成立しません。公務執行妨害罪が成立するためには、暴行又は脅迫があることが必須だからです。
■拡散した人の責任は?
では、デマを拡散した人はどういう責任を負うのでしょうか。
客観的には、デマを拡散している以上は、警察の業務に支障を生じさせている、または支障を生じさせる手伝い(=幇助)をしたという余地があります。
他方、デマを信じ切って拡散している場合、果たして故意があるといえるのか、疑問があります。
そのため、理論的には悪意のある拡散については罪になる可能性があり、そうでない場合には罪にならないといえますが、実際上、拡散したときの内心を知ることは困難です。
したがって、この件については、拡散行為について罪に問うことは難しいといえます。もっとも、デマは他人への迷惑になるもののため、安易な拡散をしないよう、拡散の前には一呼吸置くべきでしょう。
*著者:弁護士 清水陽平(法律事務所アルシエン。インターネット上でされる誹謗中傷への対策、炎上対策のほか、名誉・プライバシー関連訴訟などに対応。)
*miya227 / PIXTA(ピクスタ)
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