■なぜ酒税法がある?
酒税の歴史は古く、さかのぼると室町時代からあったといいます。
お酒は生活必需品ではなく、致酔性のある特殊な嗜好品であること、適量を超えた消費は、健康、道徳、社会秩序を害しかねないこと、そして、消費量が一定のため、相当の財政収入が確保できることから、課税の対象となっています。
現在、お酒には消費税の他に酒税というかたちで二重に課税がされています。タバコなども同じですね。
■なぜ税率が変わる?
さて、今回、ビール類における酒税の統一をはかろうとしているのはなぜでしょうか。今回は、税収の確保というよりも、既存の酒屋さんの保護というところに主眼があるようです。
つまり、現在ビール類の売上の中心を占めるのは第三のビールをはじめとする税率が低いビール類です。
コンビニや量販店などによって大量販売がなされていますが、他方で、町の酒屋さんは第三のビールばかりを売っていたのでは経営が成り立たず、かといって高いビールを売っても買ってもらえず、廃業するお店も多いのも事実です。
今回の酒税の統一によって、極端に安い値段での酒類の販売を規制し、量販店以外の酒屋さんからも買ってもらうことで、既存の酒屋さんを守ろうというのが目的です。
しかし、この目的は、ビール全体の売上量が変わらないという前提が必要であり、売り上げの中心を占めている第三のビールの税率を上げ、値上げに踏み切れば、ビール全体の売上量が落ちる心配もあります。
しかし、他方でタバコの例もあるように、好きな人は値上がりしても飲むことを考えると、このような心配は杞憂かもしれませんね。
*著者:弁護士 小野智彦(銀座ウィザード法律事務所。浜松市出身。エンターテイメント法、離婚、相続、交通事故、少年事件を得意とする。)
*NOBU / PIXTA(ピクスタ)
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