財布316人分、携帯電話118台・・・「早稲アカ」盗難事件の補償額はどうやって決める?

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■金銭的な被害について

まず、金銭的な被害に関しては、財布に入っていたお金の金額を個別に聴取して個々の被害金額を決定して支払うという方法が取られることになるでしょう。

財布を預ける時点で、いくら入っていたのかを確認して記録でもしていれば金額を特定するのは容易ですが、そのような確認作業をしていなければ、生徒やその親の申告によることになるでしょう。

 

■物品的な被害について

物品的な被害に関しては例えば、盗まれた財布、携帯電話、音楽プレイヤーそのものを金銭評価したものを金銭により賠償するということになるでしょう。お金の価値は普遍的ですが、使用歴のある財布や音楽プレイヤーの価値は評価することは難しいものです。

客観的な価値は低くても、例えば親の代から長く使っているもので愛着や思い入れがあり、被害者にとっては非常に価値が高く、客観的な価値との間に差があるということもありえます。同塾がどういった基準で金銭評価するのかにより、さらなる問題が起こるかもしれません……。

なお、同塾の発表では、盗まれた携帯電話については、「代替機への手続き等で発生した実費」について補償する意向が表明されています。

 

■個人情報流出に対しての被害について

個人情報流出に対しての被害についても金額の算定は難しいものになります。本件で流出が想定される個人情報は、財布の中に入っている保険証等の住所等が記載された情報、携帯電話内に入っている情報となります。これに対する補償の法律上の意味は「慰謝料」です。

つまり、自分の個人情報が流出したことによる精神的なショック、不安を金銭的に評価するということになります。定型の方程式があるわけではありませんので、一律決まった金額を計算できるものではありません。

裁判になった場合、流出した情報の内容(人に知られたくない程度の度合い)、二次被害があったかどうかなどを判断材料として、概ね5,000円~数万円と評価されることが多いようです。

同塾は、こういった被害に対しても全面的に補償する意向を打ち出しております。同塾がどの程度の金額を補償するのかについては、個人的にも注目したいと思います。

 

■過失の所在により責任を負うかどうかは変わってくるが…

今回の事件では、財布や携帯電話等を預かっておきながら施錠もしていない場所に保管していた同塾側の責任は明白です。

仮に、厳重に施錠されている場所に保管されていたとしても、結果盗難に遭ったという場合、管理体制のどこかにミス(過失)があったといえるケースが多いでしょう。その場合、ミスの所在(塾なのか、ホテルなのか、セキュリティ会社なのか)により責任を負う対象は変わるということになります。

勉強に打ち込むためにこの夏期合宿に参加した生徒やその保護者の心情を考えれば、塾側の迅速な対応や適正な補償は当然といえます。その他、同塾としては信用回復に向けた企業努力等も必要となってくると思います。

 

*著者:弁護士 河野晃 (水田法律相談所。兵庫県姫路市にて活動しております。弁護士生活5年目を迎えた若手(のつもり)弁護士です。弁護士というと敷居が高いと思われがちな職種ですが、お気軽にご相談していただけるような存在になりたいと思っています)

*Graphs / PIXTA(ピクスタ)

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河野 晃 こうのあきら

水田法律事務所

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