あなたは大丈夫? 会社内でやっているかもしれない犯罪行為とは

■会社の所有物である

コピー用紙やペンなどの会社の備品は、元来会社の所有物です。業務においてそれを使用できるのは、会社から許可を得ているからにすぎません。

民法は、「所有者は、法令の制限内において、自由にその所有物の使用、収益及び処分をする権利を有する。(同法206条)」と定めており、会社の従業員は会社からその業務に関して会社所有の備品を使用することが認められていると解釈するのが通常です。

つまり、会社から備品を私的にも使用して良いという許可が無い以上、私的な使用は違法となります。例え1枚プリントアウトする場合であっても法律的にはアウトです。

コピー用紙の場合、一般的なイメージでいえば、従業員各自が業務上必要に応じて使用するものですので、窃盗罪(刑法235条)が成立します。個人的に支給されているペンなどであれば、従業員が占有(その物を事実上支配・管理している状態とご理解ください)しているでしょうから、横領罪(刑法252条)、もしくは業務上横領罪(同法253条)が成立します。

 

■携帯電話を充電したら?

会社のコンセントで充電する行為も窃盗罪(刑法235条、同法245条)になります。窃盗といえば、いわゆる「物」を盗んだ場合に成立するというイメージがあると思います。

でも、刑法245条は「この章の罪については、電気は、財物とみなす。」と明記されておりますので、特別に窃盗罪が成立するのです。

ただ、以上のような行為で刑事罰を受けたという人ってあまり聞いたことありませんよね。だから、つい気軽にやってしまいがちなのかもしれませんが……。

 

■実際に懲戒免職になったケースも

確かに、こういったケースで警察が動いたということは稀かもしれません。でも、会社の備品を個人的に使ったというケースでNHKの職員が懲戒免職になったというケースもあるようです。

一般企業においても、一度のコピー機の私的使用で懲戒解雇はいきすぎだとは思いますが、何らかの処分を受ける可能性は十分あります。軽率な行為は慎むべきでしょう。

 

*著者:弁護士 河野晃 (水田法律相談所。兵庫県姫路市にて活動しております。弁護士生活5年目を迎えた若手(のつもり)弁護士です。弁護士というと敷居が高いと思われがちな職種ですが、お気軽にご相談していただけるような存在になりたいと思っています)

*Graphs / PIXTA(ピクスタ)

河野先生
河野 晃 こうのあきら

水田法律事務所

兵庫県姫路市本町68-170大手前第一ビル3階

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