飲酒運転を隠すために、一晩経ってから出頭することが許されると思いますか?もちろん、道義的には許されるものではありませんね。
例えば、一晩経ってから出頭したことが飲酒検知から逃れるためだったとの本人の自白があったら、飲酒運転罪になるのか?ということになりますと、これはならないというのが正解です。そして、自ら出頭する以上、自首扱いになり、減刑の対象になります。
覚せい剤事犯でも同様のことがよく起きます。職質にあって微量の覚せい剤が出てきて、「やったのか?」と問われて「やりました。」と言っても、尿検査で覚せい剤反応がでないと、所持罪には問われても、使用罪には問われません。
覚せい剤が身体から抜けるまで逃げ回った芸能人も、いたような気がしますね。
●自白があっても罪に問えない理由
これは、過去に於いて自白偏重だった時代に、拷問により自白させてえん罪を沢山作ってしまったという反省によるもので、被疑者の自白だけでは罪に問えず、必ず客観的な証拠が必要であるという、補強法則が憲法上謳われているからです(憲法38条3項)。
従って、仮に本人が「酒を飲んでいた」と自白したとしても、それを裏付ける客観的な証拠が出てこない限り、罪に問うことができないのです。これは法律のルールである以上、仕方のないことなのです。
*著者:弁護士 小野智彦(銀座ウィザード法律事務所。浜松市出身。エンターテイメント法、離婚、相続、交通事故、少年事件を得意とする。)