中国人の「爆買い」で商品買い占め・・・違法性はある?

■違法ではない

結論からいうと、何らかの法律に触れ、違法となることはまず考えられません。

そもそも、お土産や販売する商店や家電量販店には、販売を拒否する自由があります。これは、民事上の契約一般に妥当する契約自由の原則、という民法のルールから当然に認められます。

現実には、例えば、家電量販店がお客さんの購入希望を断ることは、値引き交渉が成立しなかったような場合を除き考えられませんが、法律上は、家電量販店がお客の購入希望を断ることも、何らの理由がなくとも可能です。

つまり、どこまで大量に買い占めたら爆買いといえるかという爆買いの定義の如何にかかわらず、そもそもお店はいつでも、爆買いであってもそうでなくても、商品の販売を自由に拒否できるということです。

お店の人はいつでも自由に爆買いを拒否できるということを裏返せば、お店の人は、爆買いによって何らかのダメージが生じるおそれがあると考えた時点で、自由に販売を拒否すればよいだけのことであり、爆買い行為によって、お店の人の権利を侵害し、損害を与えたとは評価できないということでもあります。

したがって、爆買い行為が、違法となることはまず考えられません。

■違法となる可能性がある行為

極端な例を想定すると、例えば、爆買いの客が、故意に他の客に著しく迷惑な言動をとり、他のお客さんへの販売に支障が生じるような極端にマナーが悪い場合は、刑法上の業務妨害もしくは民事上の不法行為が成立する可能性がないわけではありません。

ただし、違法となるのは、爆買いの最中に興奮して大声で奇声をあげるとか、店内を縦横無尽に動いて商品を壊したり、他の客の動きを妨害するなと、著しく極端な迷惑行為をとった場合に限られます。

しかし、爆買いでなくても、上記のような迷惑行為は、業務妨害や不法行為となりえますので、「爆買いだから」という理由で違法となることは、やはり通常は考えられません。

爆買いによって商店は相応な利益も得ていますが、共存共栄の関係を築けるように、節度をもって買い物してもらえるよう、マナー向上を呼び掛けることも大切かもしれません。

 

*著者:弁護士 星野宏明(星野法律事務所。顧問法務、不動産、太陽光自然エネルギー、中 国法務、農業、不貞による慰謝料、外国人の離婚事件等が専門。)

写真:KAORU / PIXTA(ピクスタ)

星野宏明
星野 宏明 ほしのひろあき

星野・長塚・木川法律事務所

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