(画像:石景山遊楽園 – 北京日記より引用)
■典型的な著作権侵害
ディズニー社に無断で、ディズニーキャラクターに酷似したキャラクターを登場させ、営業することは、典型的な著作権侵害と考えられます。
著作権は、書物だけでなく、ディズニーのようなキャラクターについても成立します。
著作権が成立するためには、創作性などの要件を満たす必要がありますが、ディズニーのキャラクターが著作権の保護を受けることは問題なく認められます。
そして、ディズニーに関するキャラクター類の著作権は、ディズニー社にあります。
ところが、石景山遊園地では、ディズニーに無断で、ディズニーに酷似したキャラクターを出演させています。
著作権侵害といえるためには、(1)石景山遊園地がディズニーのキャラクターに依拠してぬいぐるみを作成したこと、(2)石景山遊園地とディズニーのキャラクターが類似すること、が必要です。
この判断は、全ての事情を総合的に判断して決定されますが、元のキャラクターの本質的な特徴を直接感じられるかどうか、を中心に評価されます。
具体的には、ミッキーであれば、丸い大きな顔、配色、大きな耳、身長、体のパーツのバランスといった要素を中心に、類似性が判断されることになります。
石景山遊園地のキャラクターを見ると、細部でデザインが異なるものの、特徴的な部分では、ディズニーキャラクターに酷似していますので、著作権侵害の要件はみたる可能性が高いと考えられます。
実際、過去にはディズニー社が、石景山遊園地がある北京市当局に通報をしているようです。
■著作権以外の問題も
著作権以外にも、ディズニーが登録する商標権を侵害していると考えられます。
いずれにしても、ディズニー社の知的財産権の侵害である可能性は高いですが、原則として中国の裁判所で裁判をして差し止めや損害賠償請求をする必要があるため、なかなか外国企業の権利保護が図られにくいという事情もあり、放置される事態となっています。
ディズニーの著作権に限らず、中国ではまだまだ知的財産権の保護が十分ではないのが現状です。
*著者:弁護士 星野宏明(星野法律事務所。顧問法務、不動産、太陽光自然エネルギー、中 国法務、農業、不貞による慰謝料、外国人の離婚事件等が専門。)
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