フジテレビが放送中断・・・違反した「弁護士会の規則」とは?

■弁護士会館の使用規則

都道府単位(東京・北海道は複数)で存在する弁護士会は、どこも自前の弁護士会館を設置しています。東京であれば、霞ヶ関の東京地裁の隣に日弁連も入る東京弁護士会館があります。

弁護士会館には、図書館やクライアントとの打ち合わせや相手方との示談交渉に利用できる会議室、記者会見に使用できる設備があります。

このうち、今回、問題となったのは、記者会見で使用する設備です。

東京の弁護士会館では、使用規則で、生中継を禁止しており、会館使用規則に違反することになったようです。

弁護士会館の使用規則ですので、それ自体罰則があるわけではなく、基本的には、弁護士会から注意されるにとどまります。

ちなみに、弁護士会館は、所属する会員弁護士から会館特別会費を徴収して建設しており、世界的に比較しても高額な弁護士会費の原因となっています。

また、地域によって違いますが、弁護士会費は、入会金10~60万、月4~8万も徴収されます。もちろん何もしなくても、登録しているだけで弁護士会費は徴収されます。

 

■多様な弁護士会の規則

弁護士の活動は、国会が定めた罰則付きの法律である弁護士法によって規制される他、弁護士会が独自に定めた各種の規則によって制限を受けています。

弁護士会の規則は、国会の法律ではなく、罰則もありませんが、違反すると弁護士会から懲戒処分を下される理由となる点で、弁護士に対する拘束力があります。

弁護士会が制定する規則は、広範囲にわたっており、それを完璧に把握している弁護士の方が珍しいくらいかもしれません。

代表的な規則として、弁護士職務基本規程というものが存在します。

例えば、以下のような規制があります。

・広告

品位を損なうもの(ネオン広告など)、奇異、低俗、脱法行為助長、もみ消しを示唆するもの等は禁止、広告責任者の表示義務

・勧誘

事件漁り、訴訟扇動行為の禁止

・非弁提携

弁護士でない者との提携禁止

・国選弁護人の対価受領禁止

国選弁護人は、被告人等関係者から、直接報酬を受領できません。

また、国選弁護人から私選弁護人への切り替えの働きかけも禁止です。

・利益供与の禁止

相手方からの利益供与だけでなく相手方への利益供与も禁止されています。

 

■弁護士はおおよその規則を把握している

ご紹介した以外にも、弁護士会の規則で規制されている行為は無数にあります。

弁護士も全ての規則を正確に記憶しているわけではありませんが、弁護士活動における規範は、法科大学院の必修カリキュラムとなっていることもあり、どの弁護士も、規則違反となるかどうかのおおよそのところは把握して、職務にあたっているのが現状です。

以前は、全面禁止だった広告が解禁され、一律の金額だった報酬基準も自由化されるなど、時代に合わせて改正されている規定もあります。

 

*著者:弁護士 星野宏明(星野法律事務所。顧問法務、不動産、太陽光自然エネルギー、中 国法務、農業、不貞による慰謝料、外国人の離婚事件等が専門。)

星野宏明
星野 宏明 ほしのひろあき

星野・長塚・木川法律事務所

東京都港区西新橋1‐21‐8 弁護士ビル303

コメント

コメント