「死んでも自己責任!?」・・・バンジージャンプ等で出す「念書」は法的に有効?

これからの季節、郊外にレジャーに行かれる方も多いかと思います。

中には、バンジージャンプ、川下り(キャニオニング)、フリークライミング(ボルダリング)など一定の身体的危険を伴うレジャーにチャレンジされる方もいらっしゃるでしょう。

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その際、運営者からは、参加者に事故が起きたとしても、全て参加者の自己責任であり、運営者としては一切責任を負わない旨の「念書」の提出を事前に求められる場合が多いかと思います。

それでは、万一、事故が起きて参加者が怪我をしたり、場合によっては死亡してしまった場合であっても、念書を提出して当該レジャーの危険性を承知している以上、参加者としては、運営者の責任を一切問えないのでしょうか?

 

●刑事責任が発生しないこともありえる

まず、刑事上の責任ですが、参加者が怪我をしたり、死亡したりした場合、運営者は、業務上過失致死傷罪(刑法211条)に問われる可能性があります。

もっとも、形式上は犯罪の要件に該当する場合であっても、有効な「被害者の同意(承諾)」があれば、行為の違法性が阻却されて犯罪は成立しないとされています。

そのため、自分は怪我をしても構わないということを承知で参加し、事故で怪我を負った場合には、行為の違法性は阻却されて運営者には犯罪が成立しないことになります。

ただし、同意が有効になるためには、運営者が、参加者から念書を提出してもらうだけではなく、参加者に対して、事前に当該レジャーの危険性や事故が起こった場合の怪我の程度等について十分に説明義務を尽くしていることが前提です。

一方で、生命を放棄するような同意は許されないので、仮に、自分は死んでも構わないことを承知でレジャーに参加し、結果、死亡してしまった場合には、そのような同意は無効なので、被害者の同意の法理では違法性は阻却されません。

もっとも、被害者の同意が無効であったとしても、当該レジャーの危険性について社会に広く認識されているような場合には、社会的相当性の観点から違法性が阻却される余地があります。

 

●損害賠償責任はどうなる?

次に、民事上の責任ですが、運営者は、不法行為(民法709条)や債務不履行(民法415条)に基づく損害賠償責任を負う可能性がありますが、刑事責任と同様に、被害者の有効な同意があるか、そのレジャーが社会的に相当なものであれば、違法性が阻却されて賠償責任が発生しないということになります。

まさか自分が事故に遭うはずがないと思ってレジャーに参加される方がほとんどかと思いますが、万一、事故に遭って怪我等をした場合には運営者の責任を追及できない可能性がある、ということを十分に認識したうえでレジャーに参加するようにしてくださいね。

 

*著者:弁護士 理崎智英(高島総合法律事務所。離婚、男女問題、遺産相続、借金問題(破産、民事再生等)を多数取り扱っている。)

理崎 智英 りざきともひで

高島総合法律事務所

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