最近、地中海から約1,000年前の金貨が約2,000枚発見されたという報道がありました。今回の発見については「非常に貴重なため、値段は付けられない」とも言われているようです。
それでは、日本において、たとえば山の中から昔の財宝が発見された場合、誰のものになるのでしょうか。
上記のような財宝は埋蔵物といいますが、その所有権の取得については、民法241条に規定があります。
●時間が経てば自分のものになる
民法241条は、埋蔵物は、遺失物法の定めるところに従って公告した後6か月以内にその所有者が判明しないときは、発見者がその所有権を取得すると規定しています。
すなわち、発見後約6か月間、所有者が現れなかった場合には、発見者がその所有権を取得することができるということです。
注意が必要なのは、発見者が遺失物の所有権を取得するためには、遺失物法に従って埋蔵物を発見した旨をきちんと届け出る必要があるということです。
届出先は、警察署です。
そのため、届出をせずに、単に隠し持っていたというだけでは埋蔵物の所有権を取得することはできません。
なお、埋蔵物を発見したのが他人の土地である場合には、発見者とその土地の所有者とが、埋蔵物の所有権を均等に取得することになります(民法241条但書)。
●文化的な価値がある物を見つけたら自分の物にならないかもしれない
また、たとえば徳川家の埋蔵金のように文化的な価値が高い埋蔵物については、文化財保護法が適用される可能性があり、その場合には、民法241条の規定が排除されますので、発見者は埋蔵物の所有権を取得することはできません。
もっとも、発見者は何ももらえないということにはならず、遺失物法の規定に従って、埋蔵金の価値の5パーセントから20パーセントに相当する報労金の支払いを受けられることにはなるでしょう。
もしかしたら文化的な価値のあるの財宝を見つけるよりも、現代の万札を拾った方が手元にお金は入るかもしれませんね。
*著者:弁護士 理崎智英(高島総合法律事務所。離婚、男女問題、遺産相続、借金問題(破産、民事再生等)を多数取り扱っている。)