市職員がツイッターに誤って「税務情報」を掲載・・・違法性はある?

兵庫県姫路市の女性職員が、職場で撮影した写真をTwitterに投稿したところ、机の上に置かれた書類が映り込み、いくつかの税務情報が漏れるということがありました。

具体的には市内の企業から提出された固定資産税の申告書等、社名や資産取得価格などが判別できる画像だったと報じられています。

このような不用意としか言えない投稿で、企業は情報を流出させられたわけですが、どのような法的問題があるでしょうか。

スマホ女性

■刑事責任を問うことは難しい

企業情報を流出させていている以上、罪に問われるのではないか?と考える方は多いと思いますが、実はこのような類型のものを罪に問うことは非常に難しいです。

罪に問うためには刑法規範に抵触していることが必要不可欠ですが(これを「罪刑法定主義」といいます)、情報流出について明確に規定している法令はほとんどありません。

本件で考えられるのは不正競争防止法ですが、同法は営業秘密に当たる情報が不正に持ち出される場合などを想定しています。

本件では、資産取得価格などがそもそも「営業秘密」といえる内容かという問題がありますし、仮に当たるとしても不正の意図はないであろうと思われるため、これを適用することはできないでしょう。

したがって、刑事責任を問うことはできないということになりそうです。

 

■懲戒等の処分がされる余地は十分ある

ただし、刑事的な処分ができないとしても、本件のような軽率な行動をしたことについて、内部的な処分をすることはあり得ますし、そのようなことは当然許されます。

実際、市は職員の処分を検討しているようです。

 

■損害賠償等の責任は個人が負うのか

また、企業からすれば情報を流出させられたわけなので、損害賠償を請求したいと考えるかもしれません。

どのような損害が生じているのかという問題はあり得ますが、いちおう概念的には損害賠償請求は可能です。ただし、本件では公務に関する情報が流出しています。

国家賠償法は「国又は公共団体の公権力の行使に当る公務員が、その職務を行うについて、故意又は過失によつて違法に他人に損害を加えたときは、国又は公共団体が、これを賠償する責に任ずる」としています。

そのため、損害賠償請求をするとすれば、この職員ではなく、姫路市が責任を負担するということになります。

なお、姫路市が賠償した場合は、その職員は全く責任を取らなくてよいのでしょうか。

この点について、国家賠償法は、「故意又は重過失」に基づくものについては、その公務員に対して求償することができるとしています。

本件では、「職員は書類から情報が漏洩する可能性を認識していなかった」らしいので、故意はないのでしょうが、重過失があるといえそうな事案ではないかと思います。そのため、求償は可能なのではないでしょうか。

 

*著者:弁護士 清水陽平(法律事務所アルシエン。インターネット上でされる誹謗中傷への対策、炎上対策のほか、名誉・プライバシー関連訴訟などに対応。)

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清水 陽平 しみずようへい

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