日本に大きな影響を与えた「中国の10大事件」続編

前回(リンク参照)は、中国の駐在員の立場から、日本に影響の大きかった中国10大事件をおさらいしてみました。

日中首脳会談の実現が真っ先に挙げられましたが、それよりも直接ビジネスに大きな影響のある問題が頭をもたげてきています。前回取り上げた5つの事件に並ぶとも劣らない5大事件をみていきましょう。

前回同様、上海駐在員の会話から、今年を振り返っていきます。

上海

大手商社の日本人駐在員の平さんと長部部長が、顧問弁護士の王先生と2次会でKTVに来ています。(KTVとは日本のクラブとキャバレーの中間の業態。カラオケルームに女性が何十人か並び、選んだ女性がエスコートする形で酒や歌を楽しむ)。

平「ヒカルママ!こちらはうちの会社がいつもお世話になっている弁護士の先生」

中国人同士だが日本式KTVにいるせいか日本語でママと王弁護士は挨拶をする。

王弁護士「ちょっとお客さん少ないみたいね、やはり日系企業相手だと厳しいですか」

ママ「そうね、最近日本人少なくて、中国のお客さん増えているね」

王弁護士「長部部長、さっきの話の続きですが、もう一つの大きな話題と言えば、」

 

●その6…為替が1元20円突破

部長「やはり急激な為替変動ですかね。」

王弁護士「日系企業の多く、特に製造業の会社さんが苦しんでいるようです。」

平「元が強くなったという事は、日本円ベースの売上は上がるということではないですか?」

王弁護士「平さんにしてはまともな意見ね。でも今まで中国で製造して日本に販売するという伝統的な日系中国企業にとっては、2年前に比べて、6割以上も価格が上がってしまうので、とても利益は出せないという声が多いようです。」

部長「簡単に中国国内で内販をすればいいという声もあるけど、1-2年で業態を変えることがどれほど難しいかは、平も良くわかるだろう」

王弁護士「確かに日本からの輸出企業がこれまで円高に苦しんできたというのは理解できるけど、海外でサプライチェーンを構築するのに日系企業がかけてきたコストや時間を考えると、果たしてそうした仕組みを絶やしてしまうような急激な為替変動を、国の金融施策として行うことは疑問ですね。」

平「うちは貿易会社だから、中国の国内内販にシフトしていくのでしょうが、クライアントが日系企業や日本企業から中国企業になった場合、商習慣などから問題が増えそうですね」

部長「お前はKTVにいる時だけはまともなことをいうな」

 

●その7…サンゴ違法採取

平「(咳払いして)日本では、中国漁船のサンゴの密漁が問題になっていましたね」

部長「安倍総理と習国家首席の会談以降、密漁に対しての取締り強化がされているようですね、王先生」

王弁護士「中国国内では、日本に比べてほとんど報道はされてないね。一般の国民はこうした違法な密猟者をかばおうとはしてないけどね」

 

●その8…汚職取り締まり?権力闘争?

平「そういえば今年は、蠅も打つ、虎も打つとのスローガンでかなり大物の汚職容疑の立件が続きましたね。」

王弁護士「一般論で言えば、中国の政治勢力は、(1)習近平など二世政治家を中心とした太子党、(2)長老として君臨する江沢民と縁のある上海閥、そして(3)前国家主席の胡錦濤や現首相の李克強を輩出した共青団の3つの派閥に分かれると言われているね。この間つかまった周 永康は(2)上海閥、最近逮捕された令計画は(3)の共青団出身と言われているね」

部長「直接日本に関係しないようにみえても、汚職が少なくなること自体は、ビジネスのいたるところに影響を与えますよね。カジノや飲食店の売り上げはかなり落ちているようです。摘発の対象が特定の派閥に偏っているために政治闘争の色合いもあるなどと言われていますが……。

王弁護士「ノーコメントね」

 

●その9…戦時賠償訴訟の裁判所受理

王弁護士「今年の2月頃には、日本の戦時中の企業の行為についての労働者による提訴が初めて裁判所に受理されました」

部長「その当時、中国に進出していなかった企業が訴えられるリスクはありませんが、関連会社含めてあてはまる可能性のある会社は、リスクを再検討する必要があるかもしれませんね」

 

●その10…上海市自由貿易試験区本格始動か?

平「暗いニュースが多いですが、何か明るいニュースはないですか?」

王弁護士「昨年9月末にできた上海市自由貿易試験区はどのようなメリットがあるか分からないと言われてきましたが、今年になってソニーやマイクロソフトのゲーム機の発売など漸く前向きな動きが出てきましたね」

部長「しかしそれ以外に、自由貿易試験区ならではのメリットを示すニュースはないですよね。。」

 

部長「こうしてみるとやはり為替の影響はかなり大きいかもしれませんね。政治うんぬんよりも利益の何割かが吹き飛んでしまう方がよほどインパクトが大きいですから」

王弁護士「例の島の問題の時は、本当に撤退する企業という件数は少なかったですが、最近は、操業すればするほど赤字になるため、清算・タダ同然での事業譲渡といったケースが増えているように思えます。政治問題よりも、コストが上がる方が経営には大きな問題でしょう」

平「この店は、チャージ、チップ、ボトルを考えると今のレートなら2万5000円くらいでしょう。日本で遊ぶのとほとんど変わらないなら、日本の娘の方が横で携帯いじったりウィスキーをおしぼりに含ませたりしないから良いですよね。」

部長「あ、どうでもいいけど、平君、今日お前の分は自腹な」

 

中国駐在員たちの2014年は色々と大きな問題が多かったようです。

2015年は、日本の経済にとっても良い、中国関連のニュースを皆さんにお伝えできることを期待してやみません。

 

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