子どものお年玉、親が勝手に使っても違法にならない!?

お正月にお年玉をもらうことは、子どもの楽しみですよね。

普段の小遣いの数倍から十倍以上の金銭をもらうことになります。中学生くらいになれば、子どもにお年玉を管理させても大丈夫かも知れませんが、小学生くらいだと親が一旦預かることが多いと思います。

幼い頃は親に預けるのが普通だと思いますが、後になって、そのお金が親によって利用されていたことが分かったら「何勝手に使ってるんだ!」と思うかもしれません。そのような時に、子どもに無断で親がお年玉を使ってしまうと、法的な問題が生じるのでしょうか?

親に預けることはなんら問題がなさそうですが、使用することについてはどうなのかを検証してみましょう。

お年玉

●「親権」でどこまで管理できる?

未成年の子どもは両親の親権に服します。両親は共同して親権を行使するのが原則ですが、親が離婚すると母か父かどちらか一方のみが親権を行使します。

親権とは、子どもを養育監護することであり、また、子どもの財産を管理することでもあります。あるいは子どもの居場所を定めたり、進学先を決めるのも親権に含まれます。

従って、親が子どもの財産であるお年玉を管理することはなんら問題がありません。

しかし親が自分のために子どもの財産を費消することは許されません。親権とはあくまでも子どもの福祉のために認められた親の義務であり、また権利でもあるからです。

お年玉程度の財産であれば、自分のために費消するということはあり得ませんので、法的に問題にはならないでしょう。

仮に、全部使ってしまい、子どもにお年玉を渡さなかったとしても、親はそれ以上のことを子どもにして上げていますから、問題になることはありません。つまり、10万円のお年玉を生活費に使ってしまったとしても、親が子どもにかけるお金はそれを遙かに超えていますから、法的な問題にはなりません。

しかし、祖父から孫へ多額の遺産相続があり、それを親が勝手に使ってしまったような場合には、横領罪となり刑罰を科されたり、あるいは親の親権が剥奪されることがあります。要は、程度問題ということですね。

 

*著者:弁護士 星正秀(星法律事務所。離婚、相続などの家事事件や不動産、貸金などの一般的な民事事件を中心に、刑事事件や会社の顧問などもこなす。)

星 正秀 ほしまさひで

星法律事務所

東京都中央区銀座2−8−5石川ビル8階

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