薬局に薬を買いに行くと、数が多過ぎてどれを買えば良いのか分からない…なんてことはありませんか?
数の多さに加えて、「医薬品」から「医薬部外品」「一般用医薬品第1類」などの種類に分かれ、更に何を買えば良いのか分からなくなるかもしれません。もちろん分けられているのには意味があり、薬事法という法律でしっかり定められています。
では、どのような基準でこれらの区別がされているのでしょうか。よく見かけるのに、知られていない薬の種類分けについて解説して行きます。
■医薬品
簡単にいうと、配合されている有効成分の効果が認められており、病気の治療や予防に使われる薬のことです。
医薬品の正確な定義は、薬事法で、
1.日本薬局方に収められているもの。
2.人又は動物の疾病の診断、治療又は予防に使用されることが目的とされているものであつて、機械器具、歯科材料、医療用品及び衛生用品(以下「機械器具等」)でないもの(医薬部外品を除く)。
3.人又は動物の身体の構造又は機能に影響を及ぼすことが目的とされているものであつて、機械器具等でないもの(医薬部外品及び化粧品を除く)。
をいいます。
医師が処方する薬だけでなく、薬局で買える風邪薬、胃腸薬、目薬、滋養強壮剤などの市販薬も医薬品に含まれます。
医薬品は、さらに副作用リスクに応じ、要指導医薬品、一般用医薬品第1類~第3類に分類されています。
■要指導医薬品
副作用リスクが特に高く薬剤師の対面による情報提供や指導が必要な要指導医薬品は、薬剤師による対面販売が必要で、インターネットや電話、カタログ等による販売(特定販売)ができません。
販売側から購入者へカウンター越しに医薬品を手渡す陳列方法によることが必要です。
■一般用医薬品第1類
薬剤師による対面販売の他、インターネットや電話、カタログ等による販売も可能です。
要指導医薬品と同じく、販売者から購入者へカウンター越しに医薬品を手渡す陳列方法が必要です。
■一般用医薬品第2類、第3類
薬剤師以外に、登録販売者による対面販売も可能です。登録販売者とは、薬の販売に関する資質確認のための都道府県の試験に合格し、登録を受けた者をいいます。
インターネットや電話、カタログ等による販売も可能です。
■医薬部外品
医薬部外品とは、医薬品に準じるもので、効果・効能が認められた成分は配合されているが、予防に重点を置かれたものが対象です。
薬用歯磨き剤、制汗スプレー、薬用クリーム、ベビーパウダー、育毛剤、染毛剤、入浴剤、薬用化粧品、薬用石けん等が含まれます。
■広告規制
医薬品には、様々な広告規制が課せられており、承認を要する効果効能の表示や、誤解や誇張した効果効能の表示、効果を保証するような表現等が規制されています。
市販の風邪薬などを見ると、どれも断定的広告を記載していないのは、消費者の誤解と濫用等のリスクを回避しようとする薬事法の規制によるものです。
もし薬局に行く時は、以上の事を念頭に入れて行くと選びやすくなるでしょう。もちろん、お店にいる薬剤師に聞くのが安心ですね。
*著者:弁護士 星野宏明(星野法律事務所。不貞による慰謝料請求、外国人の離婚事件、国際案件、中国法務、中小企業の法律相談、ペット訴訟等が専門。)