迷惑な暴走族をブン殴った男性の罪は軽くなるのか?

先日、騒音があまりにもうるさかったため、バイクで集団暴走をしている男性を鉄製の棒で殴り重傷を負わせたとして、40代の男が逮捕されたというニュースがありました。

ところが、このニュースに対しては加害者の男を擁護する声がかなり多く、「そもそも暴走をしていた男性が悪いので自業自得」「警察がしっかりと取り締まっていればこのようなことは起こらなかった」などの意見が多数寄せられています。

本件のように、社会に対して迷惑な行為に対してとった違法行為は、加害者の男の刑は軽くなることがあるのでしょうか。

暴走族

●傷害罪には問われる

そもそも、加害者の男の行為は傷害罪(刑法204条)に該当します。

傷害罪の法定刑は15年以下の懲役または50万円以下の罰金となっています。ですので、本件でも加害者の男はこの範囲の刑罰となります。もっとも、傷害事件の場合は、加害者が初犯であり、被害者との間で示談が成立した場合などは、起訴猶予となったりするケースがあります。

この場合は、刑事裁判にかけられませんから、実質的にはおとがめなしです。

 

●刑の重さは変わる

示談が成立しなかった場合は起訴され刑事裁判にかけられることになりますが、刑の重さは様々な事情(これを「情状」と言います。)を総合的に考慮して決められることになります。そして、「被害者がもともと迷惑行為をしていた」というのは、情状としてとても大きな事情であると考えられます。

やはり、全く罪のない人間に対する加害行為と、迷惑行為を行っていた人間に対する加害行為は刑の重さはかなり違ってきます。当然、前者より後者の方が軽くなります。加害者の男の弁護人も、裁判ではこれを最大限に主張してくるものと思われます。

それ以外にも、被害者のけがはどの程度か、加害者の男に前科があるかないか、反省しているか否かなど様々な要因を考慮して判断されます。問題は本件の刑がどの程度になるかということですが、しっかり反省しているのであれば、本件ではおそらく実刑にはならず執行猶予がつくのではないかと思われます。

これはあくまでも私見ですが、確かに鉄の棒で殴るという行為は絶対にやってはいけませんが、暴走族の爆音がとてもうるさく、住民にとってものすごく迷惑であるということもまた事実です。

正直言って、加害者の男の気持ちも理解できます。冒頭の意見でもあったように、そもそも、警察がしっかりと暴走族を取り締まっていればこのような事件は起こらなかったのではないでしょうか。そういった意味では、本件の事件においては、加害者の男だけではなく、警察に対しても猛省を促したいところであります。

 

*著者:弁護士 山口政貴(神楽坂中央法律事務所。サラリーマン経験後、弁護士に。借金問題や消費者被害等、社会的弱者や消費者側の事件のエキスパート。)

*画像: BartlomiejMagierowski

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山口 政貴 やまぐちのりたか

神楽坂中央法律事務所

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