「飲み屋のツケは1年で無効」の法律がついに改正へ

読者のみなさんの中には、飲み屋にツケがある方もいらっしゃるかと思いますが、飲み屋のツケ(飲み代)は、飲食したときから1年で時効により消滅することを知っていましたか?

一部では「1年でツケは時効」の話は知られていたようですが、実は酔っぱらいの戯言ではなく、法律でしっかり決められている話です。しかし、最近話が進んでいる民法改正において、飲み屋のツケを含むいくつかの消滅時効(短期消滅時効)が、全て「10年」に統一される流れとなりました。

そこで、今回は不思議な債権に関する時効の話についてしていきます。

飲み

●民法の原則は?

民法における債権の消滅時効の期間は、原則10年とされています(民法167条1項)。

権利を行使することができるときから10年間債権を行使しなかったときには、その債権は時効によって消滅することになります。

しかしながら、民法では、日常頻繁に行われ、受領証などの保存がおろそかになりがちな取引や、通常、取引終了後直ちに代金を請求することが予定されている取引について、10年よりも短い時効期間が認められています。

 

●1年の短期消滅時効にかかる債権について

飲み屋のツケ
旅館やホテルの宿泊料
レンタルビデオ代
タクシー運賃

 

●2年の短期消滅時効にかかる債権について

理容室や美容室での散髪料
クリーニング料
学校や学習塾の授業料
弁護士報酬

 

●3年の短期消滅時効にかかる債権について

医師の診療費
工事請負代金債権

 

●民法改正ではどう変わる?

ところが、民法改正案では、短期消滅時効制度は時代に合わないなどの理由により、短期消滅時効を廃止し、権利を行使することができるときから10年、債権者が権利を行使することができることを知ったときから5年、という一律の時効期間を設けることが検討されています。

すなわち、権利を行使するときから10年経っていなくても、債権者が権利を行使することができることを知ってから5年が経過してしまえば、その権利は時効によって消滅してしまうことになります。

現行法の短期消滅時効との関係では、時効期間が延長されることになりますが、それ以外の一般の債権との関係では、現行法よりも時効期間が短縮される、ということになります。

ただ、現在、法制審議会で仮案が決定されただけであり、いまだ国会には提出されていませんので、今後の国会での審理によって内容が変更される可能性もあります。

今後の動向に注視したいと思います。

 

*著者:弁護士 理崎智英(高島総合法律事務所。離婚、男女問題、遺産相続、借金問題(破産、民事再生等)を多数取り扱っている。)

理崎 智英 りざきともひで 弁護士

高島総合法律事務所

東京都港区虎ノ門一丁目11番7号 第二文成ビル9階

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