先日、当サイトで公開した「NHKの集金人に暴言を吐きながら撮影問題はある?」という記事に対して、読者の方から「集金人ってかなり大変そう…。」などの意見を頂きました。
そこでシェアしたくなる法律相談所では、NHKの地域スタッフ(集金人)の現状についてNHK京都放送局に取材を行いました。
●集金の際に大変な事は?
NHKが発表した平成25年度の推計世帯支払率は、74.8パーセントとなっており、全世帯の約4分の3となっています。多いと見るか少ないと見るか意見が分かれそうな数字ですが、残りの4分の1の世帯は集金ができていないということになります。
そこで、NHK京都放送局に、集金の際に困難なことなどがあるのか、暴言が浴びせられるなどの行為があるのかを聞いてみたところ、以下の回答が返ってきました。
「集金の際の暴言については、担当者によってはそう感じる者もいるかもしれませんが、言われたことを、暴言ととらえるか、貴重な意見ととらえるかといったことは、担当者の感じ方によります。また、1人1人の主張を暴言をはかれた事案として記録しているというようなことはありません。」
人それぞれの感じ方によるということは、多少なりはあるということでしょうか。また、契約がしづらくなっているのではないか?という質問に対しては
「契約が締結しづらくなっているのは、共働きの家庭や、一人暮らしの家庭、マンションのセキュリティの厳しさ等により、以前よりも住民の方にお会いするのが難しくなっていることによる側面が強いと思います。」
と説明をし、最後に以下のように語ってくれました。
「放送法にもとづく受信契約について知らない方が増えているので、担当者が会っても断られた場合には、上司が詳しい説明をするようにしています。」
●放送法の内容はこうなっている
「放送法にもとづく受信契約」とは何なのでしょうか?放送法という法律があり、以下のように定めています。
放送法六十四条1項
協会の放送を受信することのできる受信設備を設置した者は、協会とその放送の受信についての契約をしなければならない。ただし、放送の受信を目的としない受信設備又はラジオ放送(音声その他の音響を送る放送であつて、テレビジョン放送及び多重放送に該当しないものをいう。第百二十六条第一項において同じ。)若しくは多重放送に限り受信することのできる受信設備のみを設置した者についてはこの限りでない。
ここにいう、協会というのが日本放送協会(NHK)のことです。
ざっくり言うと、NHKが受信できる状態にある家は、受信契約を締結しなければいけないと法律が定めています。受信料の支払いは、受信契約の締結によって生じる義務なので、一般的に、NHKが見られるなら受信料を払わなければならないと言われています。
もちろん、勝手に受信料の引き落としができるわけではないので、NHKの集金担当者が世帯ごとに訪問を行い、契約を締結しているのですが、取材の回答であるように、大変なこともあると言う事です。
●受信料について今一度考えてみる
テレビ局が増え、たくさんの番組から好きなものを選んで見ることが当たり前になってきている最近では、NHKが受信できる状態になっているだけで、契約を締結しなければならないという放送法という法律に、疑問を持つ人も増えているかもしれません。
「NHKを見ていないのに請求されて不快」などと思っている方も多いかもしれません。しかし、NHKを見ないからといって受信料を支払わないというのは法律上認められていないということを知る必要があります。また、裁判例も受信設備がある場合に受信契約を締結する義務があると判断しています。
法律でしっかり定められていることを念頭におき、今後、NHKの訪問が来た際には、集金の方の話に耳を傾けるように心がけるべきではないでしょうか。