【動画】NHKの集金人に暴言を吐きながら撮影 問題はある?

「NHK集金人を1分で撃退」という動画が一部で話題になっていました。

NHKの集金人を訪問時から撮影し、身分証明書を呈示させてこれも撮影し、終いには「泥棒!」と叫んで追い返すといった動画です。

NHKの集金を撃退する方法などがネット上には溢れかえっているように、集金がしつこいなど、嫌う人も多いようですが、ここまでする人はなかなかいないでしょう。

今回は、こうした撮影者の行為について、法的な問題はないか、検討したいと思います。

 

訪問時から撮影し、身分証明書を呈示させてこれも撮影した行為について

結論から言いますと、これだけでは犯罪にならないし、民事上の不法行為(民法709条)にもならないと考えます。

自分の家の玄関に防犯カメラを設置して訪問者を撮影しても犯罪にならないところ、防犯のためにカメラを手に持って自分の家の玄関で訪問者を撮影しても犯罪にならないのではないかということです。

 

撮影し泥棒と叫んで追い返した一連の行為について

こうした行為については、異論もあると思いますが、威力業務妨害罪(刑法234条)が成立し得ると考えます。

威力業務妨害罪は、威力を用いて人の業務を妨害した者に成立する罪です。

威力業務妨害罪が保護しようとしている利益は、業務活動です。

威力とは、人の意思を制圧するに足りる勢力を用いることを意味しますが、NHKの集金人に対しカメラで撮影して威嚇し終いには泥棒と叫ぶ行為は、人の意思を制圧するに足りるものであり威力に当たると考えます。

撮影者は、こうした威力によってNHKないしNHK集金人の集金業務という業務活動を妨害していますので、威力業務妨害罪が成立し得ると考えます。

威力業務妨害罪を犯した者は、3年以下の懲役または50万円以下の罰金といった刑を科せられる可能性があります。

 

NHKの集金人を撮影し泥棒と叫んで追い返した一連の行為の動画をYouTubeに投稿した行為について

こうした行為については、名誉毀損罪(刑法231条1項)が成立し得ると考えます。

名誉毀損罪が保護しようとしている利益は、人に対する社会的評価です。

名誉毀損罪は、公然と事実を摘示して、人の名誉を毀損した場合に成立する罪です。

公然とは、不特定または多数人が知り得る状態におくことを意味し、YouTubeへの投稿は公然の要件を充たします。

事実の摘示には、漫画や写真といった画像による表現も含まれ、画像の連続である動画による表現も事実の摘示にあたるといえます。

名誉毀損とは、人の社会的評価を低下させるような行為をいいますが、NHKの集金人を泥棒呼ばわりした動画を投稿しているわけですから、NHKの集金人の社会的評価を低下させるような行為を行ったといえます。

そこで、撮影者は、集金人の告訴があれば(刑法232条1項)、名誉毀損罪で処罰される可能性があります。

名誉毀損罪を犯した者は、3年以下の懲役もしくは禁錮または50万円以下の罰金といった刑を科せられる可能性があります。

また、同様の行為は、集金人の肖像権を侵害したものとして、民事上の不法行為(民法709条)にも該当し、損害賠償責任を負うことも考えられます。

肖像権とは、自分の肖像をみだりに他人からとられたり使用されたりすることから守られるべき人格的利益です。

他人の肖像をYouTubeに投稿する行為は、他人の肖像権に対する侵害の程度が大きくなりますので、違法性を帯び、それによって投稿された集金人に精神的な損害も与えることになりますので、民事上の不法行為にもなると考えます。

 

*著者:弁護士 冨本和男(法律事務所あすか。企業法務、債務整理、刑事弁護を主に扱っている。親身かつ熱意にあふれた刑事弁護活動がモットー。)

*画像・動画:YouTube”NHK集金人を1分で撃退!”より

 

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冨本和男
冨本 和男 とみもとかずお

法律事務所あすか

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