TwitterやFacebookを開いたら友人や知人などの子どもの写真がたくさん掲載されているということがよくあります。
可愛い姿に癒されることも多いのですが、子どもの写真をアップする行為について、一部メディアでは「『SNS晒されチルドレン』が大人になったときに新たな社会問題が起こる可能性は否定できません」などと言われています。
SNSは普及し始めてそれほど時間が経っているわけではないので、幼い頃から大人になるまでネット晒され続けている人というのは、まだいませんが、今後生じるかもしれない「SNS晒されチルドレン」に関して、どのような問題があるか検討してみようと思います。
■自分の子どもの写真をアップすることに法的問題はあるのか
自分の子どもであれば、写真をSNSにアップしても問題がないと考えている人は多いようです。
子どもが小さい間は、子ども自身が明確な意思表示をできるわけではないですし、SNSにアップするという意味も分かっていないことも多いでしょう。
そうすると、親が子どもについて決定する権限が事実上あるため、アップしてもその時点で問題ないとはいえると思われます(また法的にも親権に基づき許されると言えそうです)。
■リスクはかなり多い
しかし、子どもが大きくなった後、その写真がネット上に残っていることを知り、それを削除したいと考えたとします。その場合、プライバシーなどを理由に削除を請求することができるのではないかと思われます。
たとえば、美容整形をしている場合、過去の写真が残っていて欲しくないと考えて、それを削除したいという場合が考えられるでしょう。
また、芸能人になった場合に過去のいろいろな写真を晒されてしまうことを避けるために、それを削除したいという場合もあり得るかもしれません。
このような場合でなくても、裸の写真がアップされているという場合があり得るでしょうし、写真に位置情報が付加されていて実家がどこにあるか分かってしまうという場合もあるでしょう。
このように、アップした時点では問題にならなくても、子どもが将来、自分の生活を形作る上で障害となる場合があり得るのです。
■SNSは公開されている
アップする親は自分の知り合いしか見ていないと考えているのかもしれませんが、公開設定を変えずに全世界から見ることができるようにしている例があります。
また、仮に友人限定で見ることができるように設定していても、情報の拡散は簡単ですし、そもそもSNSで友人になっている人全員と現実に知り合いで、かつ信頼ができると言えるのかという問題もあります。
そのため、子どもの写真を安易にSNSにアップすることはリスクが高いものであると認識する必要があると思います。
*著者:弁護士 清水陽平(法律事務所アルシエン。インターネット上でされる誹謗中傷への対策、炎上対策のほか、名誉・プライバシー関連訴訟などに対応。)