恐喝された時、あなたがとるべき行動一覧

最近、児童の親数名が校長を恐喝して逮捕されたというニュースがありました。

因縁をつけてお金を脅し取る「恐喝」は、暴力団などの反社会団体や不良少年が行う特殊なものではなく、実際には、何らかのトラブルや弱みがあれば誰もが被害に遭う危険がある犯罪です。

そこで、今回は、「恐喝罪」とはどのようなものなのか、恐喝にあった場合に、どのような対応をすればよいのか、お話ししたいと思います。 脅迫

■恐喝罪とは

恐喝罪とは、他人に害悪を告知して恐怖心を与え、金品を交付させる犯罪です。懲役1か月から10年以下の刑に処される可能性があります(刑法第249条)。

「害悪告知」の方法には、特に制限がなく、「金を出さないと殺すぞ」などと言葉で伝える場合に限られず、暴力による場合も含まれます。

 

■恐喝に遭った場合の対処方法

恐喝は、一過性のものではなく、被害者と加害者の間に何らかの人間関係があって起こるケースが多いものです。ですから、一度お金を渡してしまうと、加害者が味をしめて、その後も継続的に恐喝行為が繰り返されることが多いといえます。

ですから、本当は、最初に脅迫や暴力を受けた際に、お金を出さない、その後は、一切連絡が取れないように電話番号やメールアドレスを変えるという毅然とした態度をとることが、最良の対応といえます。

とはいえ、実際には、脅されることや暴力を受けることで被害者には大きな恐怖心が生じます。このような対応を取ることが難しいこともまた事実です。

ただ、警察は、被害を申告しても、恐喝被害に遭ったという証拠がないと、なかなか被害届を受理しませんし、動いてもくれません。弁護士が介入してさらなる恐喝を食い止めようとしても、やはり証拠がないと、相手にしらを切られてしまう危険があります。

そこで、自分から断り切れない場合には、後で警察や弁護士が動きやすいように、証拠を残しておくことが必要です。

具体的には、電話や実際に会った時の会話は全て録音してください。相手の名前を知らない場合には、顔をきちんと覚えておくようにしてください。可能であれば、相手の写真を撮っておくといいでしょう(例えば、待ち合わせ場所に現れる加害者を少し遠くから撮影するなど)。

相手が車で現れた場合は、できるだけ車種やナンバーを記録しておきましょう。電話番号から相手の身元を割り出せる場合もありますので、携帯電話の番号も、相手の氏素性を知らない場合には有力な手掛かりになります。

恐喝行為が仮にメールでされた場合には、全て消えないようにデータを保存したりプリントアウトしたりしてください。そのうえで、警察や弁護士に相談してください。

「警察に連絡したらただじゃおかないぞ」とたいていは言われるでしょうが、たいていは警察が介入すれば、恐喝行為はやむものです。場合によっては、しばらくの間、警察官が自宅付近などを巡回してくれたりもします。

「勇気を持って行動を起こす」ことが、恐喝行為への対応として大切なことです。

 

*著者:弁護士 寺林智栄(琥珀法律事務所。2007年弁護士登録。法テラスのスタッフ弁護士を経て、2013年4月より、琥珀法律事務所にて執務。)

寺林 智栄 てらばやしともえ

ともえ法律事務所

東京都中央区日本橋箱崎町32-3 秀和日本橋箱崎レジデンス709

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