テリー伊藤の「こいつキモい」発言は人権侵害にならない?その理由とは

LINEで女子中学生に対して執拗にメッセージを送ったり、暴言を吐くなどしていた山本府議に対して、テリー伊藤さんがテレビ番組で「こいつキモいもん」などと発言し、山本府議がBPOに人権侵害だと申し立てたことを明らかにしました。

そこで 今回は、山本府議に対するテリー伊藤さんの「キモイ」発言は、人格権侵害に当たるかを検討してみます。

まず、発言の対象となっている山本府議が、府議という公人であること、そして、「キモイ」発言が山本府議のどのような言動に対してなされたのかということが重要です。

山本けい

●公人であるということ

まず、公人であるということは、その人の言動が批判に晒されるということが、一般人に比べてある程度予定されているということです。そして、テリーさんもテレビ側というマスコミのパワーを持った人ではありますが、府議としての立場から、十分な言論による対抗が可能である地位にいる、ということです。つまり、言葉によるいじめに対して対抗できるだけの発言力があるということです。

 

●「キモイ」の意味

次に、「キモイ」という発言の対象ですが、山本府議は、外見を含めての使われ方で、全人格を否定するものだとのご主張のようですが、これは明らかに違うということは、視聴者は誰しも分かっていることですね。女子中学生に対して執拗な居丈高なラインでのメッセージを送ったことに対しての発言です。

「キモイ」というのは、確かに人を侮辱する発言ではありますが、今回のテリー発言は、山本府議の言動に対して、その評価を述べたにすぎず、殊更に山本府議の名誉を貶めるためにこのような発言を行ったわけではないことは明らかですね。

従って、テリーさんの発言に違法性はなく、人格権侵害には当たらないものと考えます。

 

*著者:弁護士 小野智彦(銀座ウィザード法律事務所。浜松市出身。エンターテイメント法、離婚、相続、交通事故、少年事件を得意とする。)

小野智彦
小野 智彦 おのともひこ

大本総合法律事務所

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