知らない人のWi-Fiに「タダ乗り」は犯罪…?ではありませんでした

最近、コンビニや喫茶店など、Wi-Fi(無線LAN)を使ってインターネットに接続できるスポットを見かけるようになりました。

それ以外にも、外出先でWi-Fiに繋げようとすると、個人で使っているであろうWi-Fiなど色んな接続先が表示され、中にはパスワードのかかっていないWi-Fi(野良Wi-Fi)もあります。

こうした野良Wi-Fiにただ乗りしてインターネットに接続する行為は犯罪なのでしょうか。

窃盗(刑法235条)や不正アクセス行為の禁止等に関する法律違反が問題となりそうですが、結論から言いますと、犯罪に当たらないと考えます。

Wi-Fi

■Wi-Fiについて

Wi-Fiとは、無線LAN(=無線通信を利用してデータの送受信を行うコンピュータネットワークシステムのこと)の一種ですが、要するに、パソコン・スマホ等をインターネットに接続する仕組みです。

Wi-Fiを利用する場合、電波を飛ばしてインターネットに接続するためのWi-Fiアクセスポイント(電波中継機)を探し、Wi-Fiアクセスポイント(電波中継機)を経由してインターネットに接続するわけです。

しかし、このWi-Fiの電波を飛ばしてWi-Fiアクセスポイントを探すという仕組みのため、複数のWi-Fiアクセスポイントが登場し、その中にパスワードのかかっていないものがある場合、ただ乗りできてしまうわけです。

 

■窃盗について

窃盗は、「他人の財物を窃取」した場合に成立します(刑法235条)。

ここで「財物」にあたるかどうかは、移動させることが可能かどうか、管理することが可能かどうかで判断されます。

「電気」を奪った事案について、こうした判断基準で「電気」も「財物」であるとして、窃盗罪に当たるとした明治時代の判例もあります(刑法245条参照)。

しかし、Wi-Fiへのただ乗りの場合、Wi-Fiのシステム自体は電気と違って奪われるような性質のものではなく、何か移動可能なもの、管理可能なものを奪ったとは言い難いと思われます。

そこで、Wi-Fiへのただ乗りが窃盗罪には当たらないと考えるわけです。

 

■不正アクセス行為の禁止等に関する法律違反

これは、不正アクセス行為をした者に成立する犯罪です。

「不正アクセス行為」とは、他人のコンピュータに直接あるいはネットワークを通じ他人の識別符号(IDやパスワードのこと)を利用して他人になりすましたり、あるいはコンピュータの弱点を突いて不正にアクセスし、他人のコンピュータを利用できる状態にする行為です。

要するに、ID・パスワードその他のセキュリティによって守られている他人のコンピュータを権限もなく何とかして利用しようとする行為です。

パスワードがかかっていないWi-Fiへのただ乗りの場合、こうしたセキュリティを突破しようとするわけではありません。

そこで、パスワードがかかっていないWi-Fiへのただ乗りは、不正アクセス行為の禁止等に関する法律違反にも当たらないと考えます。

以上が犯罪に当たらないと考える理由です。

もっとも、Wi-Fiのただ乗りによって、他人のWi-Fi利用に支障を生じさせたり、損害を与えたような場合、民事上の不法行為になることもあると考えます。

また、Wi-Fiにただ乗りしたために、自分のパスワードやIDを知られてしまうこともあるようです。

犯罪に当たらないとしても、野良Wi-Fiへのただ乗りは止めましょう。そして、パスワードをかけないでWi-Fiを使用するのも止めるべきですね。

 

*著者:弁護士 冨本和男(法律事務所あすか。企業法務、債務整理、刑事弁護を主に扱っている。親身かつ熱意にあふれた刑事弁護活動がモットー。)

冨本和男
冨本 和男 とみもとかずお

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