先日、総武線の踏切に軽乗用車が放置され、警察が「往来危険」の疑いで捜査をしているという記事がありました。
そこで、今回は、この「往来危険」の罪がどんな罪なのかについて解説してみたいと思います。
■往来危険の罪とは?
往来危険の罪とは、鉄道(レール、枕木、犬釘、継ぎ目板、鉄橋、トンネル等)を壊したり、信号機等の標識を壊したり、その他の方法で汽車・電車の通行に危険を生じさせたりした場合に成立する犯罪です。
往来危険の罪は、交通機関の安全を守るため、国民の生命・身体・財産を守るために処罰される犯罪です。
■具体的には
過去の裁判例では、レール上に石、リアカー、自動車その他の障害物を置いて危険な状態にした行為、無人電車を操作して暴走させた行為(三鷹事件)、正規の運転計画に従わないで電車を運転した行為(人民電車事件)、列車の軌道上を火炎瓶等で燃え上がらせた行為等が往来危険の罪に当たるとされています。
■往来危険の罪に当たる場合
往来危険の罪を行った者は、2年以上の懲役という刑罰が科せられます。
懲役は、刑事施設に拘置されて刑務作業に服するという刑罰です。
往来危険の罪の行為を行って、汽車・電車を転覆させたり、汽車・電車を破壊したりした場合、無期懲役か3年以上の懲役というより重い刑罰が科せられます。
今回の事案について幸いけが人はなしということですが、大惨事になりかねない恐ろしいことですので、犯人の検挙はもちろん、警備の強化等今後の対策も立てて欲しいと思います。