光回線やインターネットサービスプロバイダーとの契約、携帯電話等の電気通信サービスに関する相談について、国民生活センターが寄せられた相談事例を報告しています。
寄せられている相談件数は年々増加しているようです。自宅でインターネットを利用したり、携帯電話を利用したりすることは、近年では珍しいことではなくなりました。インターネットはとても便利ですが、契約を結ぶときの書類に全て目を通せる人は多くはないでしょう。気がつくと不本意な契約を結んでしまっていることも珍しくありません。
報告書を見ながら、消費者の視点から気をつけたい点を確認したいと思います。
■いくつのサービスを契約したかわかりますか?
スマートフォンを契約しに行ったら、契約するサービスの種類を選ばせられたり、いろいろなオプションサービスをつけられたりして、「スマートフォンを買いたいだけだったのに、いろいろ言われて良くわからなかった。契約はできたけど、余計なサービスを付けてしまった気がする」という経験のある方も多いでしょう。報告書でも、「店舗購入でも不意打ち性の高い勧誘や説明不足、広告表示による誤解が生じている」と指摘されています。
まず、電気通信サービスを提供している電気通信事業者が、複数のサービスを提供している場合があります。電話を多く使う場合、電話はあまり使わないけれどインターネットを多く使う場合、電話のインターネットもときどき使うだけの場合など、自分に合った契約を組み合わせなければなりません。
さらに、 代理店などの勧誘事業者が、電気通信事業者のオプションサービスや全く別個のサービスを追加サービスとして勧誘することがあります。なかには、追加サービスを契約しないとスマートフォンの契約ができないかのように説明される場合もあります。
「オプションはすぐに解約してもらえば大丈夫ですから。」と言われた方もいるのではないでしょうか。
勧誘事業者は、追加のサービスを契約してもらえると、電気通信事業社から手数料が得られるようです。しかし、消費者は、結局自分がどのサービスを契約したか分からない場合も多く、トラブルの原因になっていることがわかります。
■今その契約をする必要はありますか?
電話での勧誘や訪問販売での相談も報告されています。報告書でも、「迷惑な勧誘が繰り返されたり、契約先や契約内容を記した書面が交付されず、消費者の理解が不十分なまま、口頭での契約になっている」と問題点が指摘されています。
電話や訪問による販売の場合、消費者は事前に準備ができていませんので、最後まで勧誘事業者のペースで成約まで行ってしまうことがあります。
特に必要とは思わないけれど、良さそうなサービスだからと契約してしまうと、不要なサービスに利用料を払ったりすることにもなりかねません。
その場で契約しなければならないケースはほとんどありません。「今だけ割引しています」と言われても、一歩引いて、他のお店での値段と比較したりして、お得度合いを確認しましょう。不安に感じた場合は、契約をしないことも消費者とることができる大切な方法です。
■本当にお得なの?
新たな契約や追加サービスを勧誘されるときには、「今の利用料金より安くなる」「同時に契約すれば割り引く」と勧誘されることがあるようです。報告書では、「特典を強調した勧誘により消費者は同時に複数の契約をしている」と指摘されています。
こういった場合は、具体的にどのように「お得」なのか確認するのが良いでしょう。良心的な勧誘事業者であれば、具体的な数字を出してくれます。説明が曖昧な場合には、それほどお得ではないのかもしれません。
それに、お得であっても、全く使う予定のないサービスを契約してしまえば、不要な物を安く買うだけになってしまうかもしれません。また、解約するときに思いがけない高額の解約金が生じる場合もあります。
■納得してお金を支払おう
消費者にとっての契約は、「お金を払う」義務を負うことを意味します。しかし、インターネットの回線やスマートフォンの契約は複雑で、消費者は全てを理解するのは大変です。
結果的に事業者の説明不足が生じたり、消費者が不本意な契約を結んでしまうケースが生じています。報告書では、販売員が消費者の同意なく勝手にオプションを追加してしまう悪質なケースも報告されています。
消費生活センターのアンケートでは、具体的な法規制を設けることを望む声も多いようです。それだけ深刻なケースが多いということでしょう。
法規制や行政による対策はどうしても後追いになって時間がかかります。まずは、消費者ができる範囲で、契約内容を確認するという「予防」をしていきましょう。不安に感じ過ぎて、なかなか契約に踏み切れないのも本末転倒ですけれども。
*参考:よく分からないまま契約していませんか?インターネット、携帯電話等の電気通信サービスに関する勧誘トラブルにご注意!(発表情報)_国民生活センター