弊所では数多くホストクラブに対する売掛金債務の整理についてご相談・ご依頼をいただいておりますが、皆さまのお話の中で意外と多いのが「総額が分からない」というご相談です。
長期間通っていたので、いくらかかっていくら払ったのか分からない、酔っていたので正確な金額は把握していない、担当ホストが把握しているようだが一向に金額が減らないというお話をよく伺います。
中には担当ホストに言われるままお金を払っている方もおり、その内訳を聞くと、飲食代金ではなく、意味の分からないペナルティ名目で金額を加算されているケースもありました。
ホストクラブに対する売掛金の整理にあたっては、総額の確定が全てのスタートとなります。
総額が確定されていない段階でお金を支払うのはあり得ません。
弊所でお受けしたときは、原則として、担当ホスト及びホストクラブに対して、総額を裏付ける資料(伝票など日付、金額、飲食代金であることが分かるもの及び代金が未払であることが分かる資料)をすべて出してもらいます。
こういった資料自体を出してこないときは、総額が分かりませんから基本的には話し合いに応じることはいたしません。
次に出してもらった資料について問題がないか精査します。手書きの資料で日付や場所の記載やこちらの署名もないようなメモを出してくるような店もありますが、そういったメモは裏付け資料としては不十分であり、それをもって支払うようなことは原則いたしません(ただ、最近では、店側もトラブルになったときのことを考えて、きちんと証拠として利用できる伝票などを作成しているケースが多いかと思います)。
以上のとおり、売掛金債務の総額を確定することは交渉のスタートになります。
ご自身で対応されると、こういった資料をいつまでも出してこない、出して来ても本当に自分の飲食代金から分からない、にもかかわらず執拗な取り立てを受ける中で承諾してしまうというケースになることがございます。
正当な飲食代金については支払うべきではありますが、不当な要求は毅然とした態度で拒絶する必要があります。
売掛金の総額の確定ができずにお困りのときは、弁護士にご相談ください。
*執筆弁護士:若井 亮(若井綜合法律事務所。「迅速対応」「分かりやすい説明」「徹底した報告」をモットーとしている。不当要求への対応、詐欺被害への対応を多く経験している)
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