2012年7月、食品衛生法が改正され、飲食店が牛の生レバー(通称・レバ刺し)を客に提供する行為が禁止になりました。
みなさんも、現在は食べることができないことを知っているのではないでしょうか?
死者が出たことで禁止に
禁止となった原因は、2011年に焼肉チェーン店が提供したユッケを食べて複数人が亡くなった事件がきっかけでした。
ユッケなどの食肉を食べた客が次々と食中毒になり、5人が死亡。それを受けた記者会見で焼肉チェーン店の社長が「生食用の牛肉はありません」「法律で禁止するべきだ」と叫び、物議を醸しました。
結局焼肉チェーン店は営業禁止命令を受け、そのまま倒産。そして事態を重く見た国が、食品衛生法を改正し、牛の生レバーなど死亡する可能性がある危険な食べ物の提供を禁止としました。
提供する店は今でも
当時から愛好家が「法律で禁止するのはおかしい」と声を上げていましたが、法改正が断行されることになります。
もう食べることは許されないのですが、禁止されればされるほど、食べたくなるのが人間というもの。なかには法律違反と知りながら提供する店もあるようです。
昨年10月には、京都府の居酒屋が牛の生レバーを「あかんやつ」と称し提供していたことが発覚し逮捕。
そして今年9月にも、大阪府内の飲食店店主が秘密裏に牛の生レバーを出しており、逮捕されました。
いずれも警察が情報を聞きつけ、内偵のうえ御用となりましたが、違法と知りながら食べた客はお咎めを受けていません。
本来ならば、罰せられるべきであるような気もするのですが。詳細を法律事務所あすかの冨本和男弁護士に質問してみました。
客側は罰せられないの?
冨本弁護士:「罰せされません。店主が逮捕されたのは、牛の生レバーの提供が食品衛生法に違反するためです。
食品衛生法は、食品の安全性を確保するための法律です。
食品衛生法は、衛生上危険な食品の提供を禁止していますが、自ら食べることについてまでは禁止していません」
犯罪になる
食品衛生法は提供を禁止としており、違法と知りながら食べることについては禁止していないそうです。
提供する人間がいない以上食べることもないということなのでしょうが、本来ならば違法を申告するべきで、少々おかしいような気もします。
ファンが多い「レバ刺し」は提供すれば売れることは間違いないだけに、店で出したくなる気持ちは理解できなくもありませんが、違法である以上それはできません。
客側も「食べても無罪」という認識ではなく、「違法なことをしている」と考えるべきではないでしょうか。
*取材協力弁護士:冨本和男(法律事務所あすか。企業法務、債務整理、刑事弁護を主に扱っている。親身かつ熱意にあふれた刑事弁護活動がモットー)
*取材・文:櫻井哲夫(本サイトでは弁護士様の回答をわかりやすく伝えるために日々奮闘し、丁寧な記事執筆を心がけております。仕事依頼も随時受け付けています)