香川県高松市の高校教諭が、修学旅行の引率で北海道を訪れた際、酒を飲んでいたことが発覚。教師の行動に、疑問の声が上がりました。
修学旅行中に飲酒
この事案は生徒が自由時間になっている際に、教頭と教諭合わせて3人が小樽市内の寿司店に入り、酒を飲んでいたことが発覚したもの。
教師といえども人間ですし、学校内ではなく修学旅行で、生徒たちが自由時間ということを考えれば大目に見ても良さそうなものですが、高校側が事態を重く見ているようで、3人に何らかの処分を検討している様子。
同情的な声もありますが、「教育者として仕事中に酒を飲むとはけしからん」「教師を管理する立場の人間がやるべきではない」という批判も多く、賛否両論となっているようで、なかには「解雇するべきはないのか」という指摘もあるようです。
法律事務所あすかの冨本和男弁護士に質問してみました。
弁護士の見解は?
冨本弁護士:「修学旅行中に酒を飲んだことだけでは解雇(懲戒免職処分)の対象とならないと考えます。教師は、修学旅行中、生徒を預かっている立場にあるわけですから、引率業務に支障がないよう飲酒は控えるべきだったと思います。
しかし、解雇(懲戒免職処分)によって教師が被る不利益はあまりにも大きすぎます。したがって、修学旅行中に酒を飲んだことだけで解雇(懲戒免職処分)とすることは厳しすぎます。やったこと(修学旅行中の飲酒)と、それに対する処分(懲戒免職処分)が見合っていないわけです」
好ましい行為でないことは明らかですが、解雇となれば職を失い路頭に迷ってしまうため、「重すぎる処分」ということになるようです。
他の職種との違いは?
日本では就業時間中に職場で酒を飲むことは基本的にタブーとされています。もし飲酒がバレてしまった場合、公務員である一般人とは違う企業であることから、解雇されてしまうのではないかという不安がつきまといますね。
職種によって、飲酒による解雇が認められる場合はあるのでしょうか?法律事務所あすかの冨本和男弁護士に見解を伺うと…。
冨本弁護士:「私立学校でもその他の一般企業でも、業務時間中に酒を飲んだことだけで解雇とすることは厳しすぎ、解雇は無効となるのではと考えます」
処分される可能性がある行為
勤務中に酒を飲みたいと思うことは多々あります。とくに深夜に及ぶ残業になると、眠気もありちょっと酒を飲んで集中するということもあるかもしれません。
適切ではないことは明らかですが、「大目に見ても…」と思ってしまう修学旅行中の飲酒。しかし「なんらかの処分をされる可能性がある」行為であること間違いありません。行わないほうが、無難ですね。
*取材協力弁護士:冨本和男(法律事務所あすか。企業法務、債務整理、刑事弁護を主に扱っている。親身かつ熱意にあふれた刑事弁護活動がモットー)
*取材・文:櫻井哲夫(本サイトでは弁護士様の回答をわかりやすく伝えるために日々奮闘し、丁寧な記事執筆を心がけております。仕事依頼も随時受け付けています)