先日、ある俳優が妻子がある身でありながら、自身の車に複数の女性を連れ込み、不貞行為に及んでいたことが発覚。記者会見で全面的に不倫を認め謝罪しましたが、批判の声が噴出しています。
俳優は女性を性欲を満たす道具のように思っていたようで、車での行為が終わるとすぐに駅に送り届け、何食わぬ顔で帰宅しており、「異常な行動」と糾弾する人もいるようです。
不倫を理由に降板を余儀なくされるケースも
妻と子供は俳優を許したようですが、世間の風当たりは徐々に強まっている様子。既に舞台の降板や、TV番組の出演取りやめなどの措置も行われており、「今後この流れが進むのではないか」という見方もあります。
このような流れは以前にもあり、不倫によって全出演番組とCMを降板し、事実上の活動休止に追い込まれたタレントもいます。「致し方ないのでは」という声もありますが、なかには「不倫と仕事は別」「配偶者が本人が反省していればいいのでは」という意見もあるようです。
不倫によって仕事を「降板させられる」ことについて不当性を訴えることはできないのでしょうか?銀座ウィザード法律事務所の小野智彦弁護士にお聞きしました!
不当性を訴えることはできる?
小野弁護士:「不倫行為も、恋愛自由の原則からすれば、不倫そのものが一般的に違法な行為ではないのかもしれません。不倫行為は、不倫相手の配偶者、あるいは、不倫行為をしている人間の配偶者にとって、貞操権を侵害されることから、それぞれの配偶者からすると違法な行為となるわけです。
ただし、一般的に不倫行為そのものは、反道徳的な行為という認識であることは間違いのないところであり、不倫行為をすることによって、一般人から「最低」という評価をされることも間違いないでしょう。
芸能界では、視聴者が一般人であることから、特に出演されている芸能人のイメージは大切で、イメージが悪くなると視聴率が取れない、観客を動員できないという損害が発生することが明らかです。
そこで、出演契約にあたり、必ず以下のような契約条項を入れることになります。
「本作品のイメージまたは出演者の役柄のイメージに支障を与え若しくはその恐れのある行為」をしないことを出演者の義務と定め、その義務に違反した場合には、債務不履行解除の原因となるように契約書上定められることになります。
今では、全ての契約書にこのような定めが入っているのが現状ですので、「不倫を理由に降板は不当」と訴えても、返り討ちにされるだけでしょう。
降板は致し方なし
不倫はその人物のイメージを著しく失墜させるだけに、TV番組や舞台作品などに迷惑をかけてしまいます。
芸能界はイメージが特に大事な業界。そのような影響を考えると、降板などの措置を受けても仕方ないでしょう。
*取材協力弁護士:弁護士 小野智彦(銀座ウィザード法律事務所。浜松市出身。エンターテイメント法、離婚、相続、交通事故、少年事件を得意とする。)
*取材・文:櫻井哲夫(本サイトでは弁護士様の回答をわかりやすく伝えるために日々奮闘し、丁寧な記事執筆を心がけております。仕事依頼も随時受け付けています)