2月14日はバレンタインデー。今年も多くの女性が男性にチョコを渡したことでしょう。なかには、告白が成功したという人もいるかもしれませんね。
女性にとっては、想いを伝えられるチャンスのようです。
客先の男性にチョコを渡すことを強制
営業として都内の会社に勤務するAさん(20代・女性)はバレンタインデーにうんざりしています。それは、男性上司が2月14日は商機とばかりに、「自費でチョコを買って客先の男性社員に持っていけ」と強制してくるためです。
バレンタインデーを営業ツールに使うことに嫌悪感を覚えていますが、それと同時に自費ということも納得がいきません。強権的な性格であるため、ずっと我慢してきましたが、客先の男性がチョコを渡すことで勘違いし、誘いを入れるメールが入ることも多く、「セクハラ」で訴えたいと考えています。
女性社員にチョコレートを自費で購入させ、客先の男性社員に配ることを強要することに法的な問題はないのでしょうか?銀座さいとう法律事務所の齋藤健博弁護士に聞いてみました!
法的問題はあるのか?
齋藤弁護士:「セクハラ・パワハラに該当する場合はあり得ます。セクハラの定義は、「職場」内において「労働者」に対して行われる「性的な言動」を意味します。
実は言動にとどまるものではなく、当該労働者がその労働条件にのために不利益を受ける対価型や、当該言動により労働者の就業環境が害される環境型セクハラとに分類されています。
ご指摘の事案では、バレンタインは女性が男性に対してチョコレートを配ることができるものなので、女性が対象となりますが、ある意味で上司が強要しているので職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性をも背景に上記を強要している以上、パワハラとの複合型であると考えられるでしょう。
加害をした本人以外でも、事業主に対するセクハラ・マタハラ防止に関する雇用上の必要な措置を講ずる・防止指針を実現する義務が定められているので、これを履行していないとみなされる場合、法人側も責任を追及される可能性はあるでしょう」
セクハラだけではなく、パワハラにも該当するようですね。
チョコはあくまでも任意
職場などでは半ば義務として女性が男性にチョコを送るケースが増えており、「義理チョコ」を禁止する企業もあります。任意ではなく強制的に「チョコを渡せ!」と命令することは、法だけではなく道徳的にも好ましくないことは明白です。
*取材協力弁護士: 銀座さいとう法律事務所 齋藤健博弁護士(弁護士登録以降、某大手弁護士検索サイトで1位を獲得。LINEでも連絡がとれる、超迅速弁護士としてさまざまな相談に対応。特に離婚・男女問題には解決に定評。今日も多くの依頼者の相談に乗っている。弁護士業務とは別の顔として、慶應義塾大学において助教も勤める。)
*取材・文:櫻井哲夫(本サイトでは弁護士様の回答をわかりやすく伝えるために日々奮闘し、丁寧な記事執筆を心がけております。仕事依頼も随時受け付けています)