先日、中日ドラゴンズのファンと思われる男性が、広島・マツダZoomZoomスタジアムの外野席で、「原爆落ちろカープ」などと叫んだ動画を公開し、猛批判を受けました。
現在個人が特定されつつあるようですが、警察が動いているなどの情報は入ってきていません。該当者はTwitterアカウントを削除し、逃亡したようです。
このような発言に対する怒りは現在も根強いもの。ネット上では、中日球団がこの人物を特定したうえで野球場から永久に出入り禁止にするべきだなどの声が上がっているのですが…。
広島県民を侮辱するこの行為、罰することはできないのでしょうか? また、「球場の出入り禁止」をすることはできないのか。
法律事務所アルシエンの清水陽平弁護士にご意見を伺いました。
■法律的に罰することはできる?
「内容として不適切だということができ、また、不快に感じるということも理解できるところですが、これを犯罪行為であるとすることはできません。不適切である、不快である=犯罪ではありません。
そもそも、単なる願望を言っているだけで、しかも本当に原爆が落ちて欲しいという趣旨で言っているわけでもないであろうと想像でき、何らかの権利侵害であるということもいえません。
したがって、違法ではありません。もっとも、このような内容を規約等で禁じることは可能であり、
スタジアム出入りを禁止するということは、規約違反等があるとすれば、何ら問題ありません」(清水弁護士)
「原爆落ちろカープ」という発言が不適切であることは間違いなく、それを動画サイトにアップロードすることは不愉快な行為ですが、法的に見ると「犯罪」とは言えないようです。
もちろん、だからといってそのような行為をしていいというわけではありません。スタジアムの出入り禁止等々は法的に問題ないとのことですから、今後同じような行為に対する抑止力とする意味でも、中日・広島に限らず、各球団には一部の過激なファンに対し、厳しく対応してもらいたいものです。スポーツ観戦は、一体感があり、ついついアツくなってしまいますよね。みんなが楽しく応援できるよう、最低限のマナーやモラルを守って観戦しましょう。
*取材協力弁護士:弁護士 清水陽平(法律事務所アルシエン。インターネット上でされる誹謗中傷への対策、炎上対策のほか、名誉・プライバシー関連訴訟などに対応。)
*取材・文:櫻井哲夫(本サイトでは弁護士様の回答をわかりやすく伝えるために日々奮闘し、丁寧な記事執筆を心がけております。仕事依頼も随時受け付けています)