Twitter上で、蟹を使ったと思われるチャーハンのメニュー写真と、注文して出てきた一見カニカマが入ったチャーハンの写真を掲載したツイートが拡散されています。蟹チャーハンを頼んだつもりがカニカマチャーハンだった、なんてことが起きたら少なからず戸惑いがあることでしょう。
そこで、今回は本件が「蟹チャーハンを頼んだらカニカマチャーハンが提供された」と仮定して、そういった場合に客には支払い義務が発生するのか、解説してみたいと思います。
■写真と実際に出てきた料理が違う場合支払う必要がある?
注文した料理と明らかに違う料理が出てきているため、お店側の不完全履行であり、客側としては、納得しないで食べなければ、注文したはずの料理の提供を求めることができます。
また、注文した料理の提供が不可能ということであれば注文をキャンセルすることができると考えます。
法律的には、客が料理を注文し、お店が料理の提供を承諾することによって飲食物提供契約が成立し、お店は料理を提供する義務、客は料金を支払う義務を負います。義務を負う者は、債務の本旨に従った履行をしないといけません。
お店は、本物の蟹を使用していると思われるチャーハンの写真をメニューに掲載しているわけですから、常識的に本物の蟹を使用したチャーハンを提供する義務を負います。
この場合、カニカマを使用したチャーハンの提供は非常識であり、債務の本旨に従った履行とはいえません。
したがって、客としては、お店に対し、飲食物提供契約に基づいて本物の蟹を使用したチャーハンの提供を求めることができるわけです。
そして、お店に本物の蟹がないような場合、注文した料理を提供する義務は履行不能ですから、客としては飲食物提供契約を解除(キャンセル)して料金の支払いを免れることができるわけです。
■写真と出てきた料理のボリュームが違う場合は?
メニューの写真と比較して明らかに少ないようであれば、やはり債務の本旨に従った履行とは言えずお店の不完全履行ですので、客としては、飲食物提供契約に基づいて相応の増量を求めたり、履行不能の場合に注文のキャンセルをしたりすることが可能と考えます。
■SNSに掲載することの注意点
以上のように注文した料理と違う料理が出てきた場合、客としては、本来の料理の提供を求めたり、注文をキャンセルしたりすることが可能です。
しかし、こうしたことをTwitterなどのSNSに掲載した場合、お店の方から信用毀損だとか業務妨害だとか言われ、自身の個人情報を調査されて逆に責任追及される可能性もありますので、SNSに掲載することまでは止めておいた方が無難だと思います。
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