7月はボーナスの時期。正社員の皆さんはそれなりの額を手にし、ホクホク顔になっていることだと思います。
このボーナスですが、一般的に賞与と呼ばれ、社員の営業実績や仕事の能力、そして経営状況などを加味した上で額が決定されるもので、金額が変動することもあります。
中には、「仕事の態度が悪い」「重大なミスをした」として、大幅にカットされることもあります。IT会社に勤めるSさんもその1人。会社から明らかに間に合わないような納期を設定された仕事を失敗し、損失を出したことを咎められ、「お前の勤務態度が悪いからだ!」と怒られた上、ボーナスを9割も下げられたそう。
Sさんは仕事を任された時点で「間に合わない」とスケジュールの見直しを提案し、断られている経緯がある上、「勤務態度が悪い」ということについては身に覚えがないことから、「難癖」としか思えず、納得がいかないようです。
果たしてこのようなことは、許されるのでしょうか? ピープルズ法律事務所の森川文人弁護士にお伺いしました。
Q.「勤務態度が悪い」とボーナスを一気に9割も下げられた……これは許されますか?
A.恣意的な不当算定と認められる場合には、減額は認められません。
「“賞与は、労働基準法一一条所定の労働の対価としての広義の賃金に該当するものであるが、その対象期間中の企業の営業実績や労働者の能率等諸般の事情により支給の有無及びその額が変動する性質のもの”(東京地裁平成6年11月15日)とされています。
しかしながら、就業規則等で算定方法が定められている場合はもちろん、それに従うことになりますし、また、恣意的な不当査定と認められる場合には、減額は認められません。
“勤務態度に難癖”が理由の場合、具体的な勤務態度の問題点が立証されない限り、裁判所でも許されないでしょう」(森川弁護士)
いくら経営者といっても、恣意的で不当な賞与金額の設定は許されないということですね。
*取材協力弁護士:森川文人(ピープルズ法律事務所。弁護士歴25年。いわゆる街弁として幅広く業務を経験。離婚、遺産相続をはじめ、不動産、 慰謝料・損害賠償請求、近隣トラブル、借地借家、賃金、インターネット問題、知的財産権などを扱う。)
*取材・文:櫻井哲夫(フリーライター。期待に応えられるライターを目指し日々奮闘中)
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*xiangtao / PIXTA(ピクスタ)
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