猛毒を持つといわれる南米原産の「ヒアリ」が神戸港に続き、名古屋港でも見つかったことが話題になっています。
このヒアリは、人を死に至らしめるほどの強い毒を持っており、性格も非常に狂暴とのこと。一説によると、ヒアリに刺されたことにより、年間100名以上の人が命を失っているとの情報もあります。
こういった外来種による被害を防ぐために、法律はどういった手当てをしているのかについてご説明いたします。
■外来生物法という法律で制限されている
ヒアリのような外来種による被害を防ぐために、日本では「特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律」という法律があります。「外来生物法」などと省略されて紹介されることもありますが、正しくはこの通りです。
この法律では、生態系や人の生命や身体、農林水産業に被害が生じるおそれのある外来生物につき、国が「特定外来生物」と定めて、飼ったり、持ち込むことを禁止しています。
外来生物法が定める特定外来生物の一例として有名なものをあげると、いわゆる「ブラックバス(オオクチバス、コクチバス)」や「ヌートリア」、「カミツキガメ」などがいます。
同法では、これら特定外来生物を許可なく販売目的で飼ったり、輸入したりすることを禁じております。
■どんな罰則があるのか
過去にはある芸人がカミツキガメを無許可で飼っていて書類送検されたというニュースもありました。当時のニュースを詳しく調べてみると、その際には有罪となって罰金30万円(略式命令)が言い渡されたそうです。
外来生物法では、上記のような無許可の飼育や輸入につき、罰則を設けています。
個人に対しては、最大で3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金(場合によりこれを併科)と、それなりに厳しい罪となっています。
一方、法人としてこれらの罪を犯した場合、当該法人に対しても最大で1億円の罰金が設定されていることです。これも、非常に重い罰となっています。
ヒアリに関しては、今のところ犯罪性が疑われているわけではありませんが、もしヒアリを許可なく意図的に輸入したり、放出した場合には、厳しい罰則が下されるということになります。
*著者:弁護士 河野晃 (水田法律事務所。兵庫県姫路市にて活動をしており、弁護士生活7年目を迎える。敷居が低く気軽に相談できる弁護士を目指している。)
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