大学生や高校を卒業する皆さんのなかには、この春休みに教習所に通い自動車運転免許を取得した人もいることでしょう。
一昔前は教習所の教官が生徒に怒鳴りつけることもあったようですが、最近は少子化の影響もありかなり優しくなっているそうです。「怖い教官」に怯えた世代にとっては、少々驚いてしまいますね。
さて、今回は、運転免許取得後1年間は付ける必要がある「初心者マーク」について触れてみたいと思います。
■初心者マークは新米ドライバーの義務
免許をとったら、いよいよ公道へ。その場合、1年間は必ず車に初心者マークをつけることになります。これは道路交通法第71条の5に定められている「義務」。つけない場合は違反となります。
(初心運転者標識等の表示義務)
第71条の5第1項 第84条第3項の普通自動車免許を受けた者で、当該普通自動車免許を受けていた期間(当該免許の効力が停止されていた期間を除く。)が通算して1年に達しないもの(当該免許を受けた日前6月以内に普通自動車免許を受けていたことがある者その他の者で政令で定めるものを除く。)は、内閣府令で定めるところにより普通自動車の前面及び後面に内閣府令で定める様式の標識を付けないで普通自動車を運転してはならない。
そして、この義務に違反した場合には、2万円以下の罰金又は科料に処される可能性があり、わざと付けなかった場合だけでなく、付け忘れていた場合であっても同様に、2万円以下の罰金又は科料に処される可能性があります。
ただし、違反切符を切られた場合に、反則金を納付すれば、刑事処分はされません。なお、違反点数として1点が加算されます。
ちなみに、初心者マークをつけている自動車に対して危険を防止する目的以外での煽り行為や幅寄せなどを行った場合は、初心運転者等保護義務違反になり、5万円以下の罰金に処される可能性があります。
ただし、違反切符を切られた場合に、反則金を納付すれば、刑事処分は科されません。なお、表示義務違反の場合と同様、違反点数1点が加算されます。
■初心者マークを1年以上つけていたらどうなる?
通常初心者マークは1年で外すものですが、運転に自信がない場合は保護を受ける意味で「もう少しつけておきたいな」と思うもの。はたして、可能なのでしょうか?
答えはYES。初心者マークの年数に制限はありませんので、つけることは可能です。しかし、運転者が1年以上の経験を持っているため、保護義務は発生しません。
実際のところ周りを走る自動車は初心者マークをつける運転者が「じつは1年以上運転している人」であるかどうかを判断することは不可能に近いと思われますから、運転に不安を覚えている人は1年以上初心者マークをつけておいたほうがいいかもしれませんね。
*監修弁護士: 大達 一賢(エジソン法律事務所。第一東京弁護士会所属。「強い、やさしさ。」、「守る≒攻める」、「戦略&リーガル」の3つの思いを胸に、依頼者のために全力を尽くします)
*取材・文:櫻井哲夫(フリーライター。期待に応えられるライターを目指し日々奮闘中)
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*Satoshi KOHNO / PIXTA(ピクスタ)
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