牛角や吉野家を装い偽キャンペーンを展開…企業や消費者はどう対応すべき?

*画像はイメージです:https://pixta.jp/

実際には提携キャンペーンではなく、また、社名やロゴの使用を許諾されていないのに、有名外食チェーン店で「2万円食べ放題」、「食べ放題無料」などの偽キャンペーンを行ったポイントサイト運営会社のニュースがインターネット上を賑わせています。

このように、自社キャンペーンであるかのように消費者を誤認させる偽キャンペーンの存在に気づいた会社の法務担当者としてはどのような対策を取ればよいのか、また消費者はどういったことに普段気を付けるべきか、偽キャンペーンの法的問題点とともに解説したいと思います。

 

■偽キャンペーンの存在を知ったら即座に注意喚起を

今回、自社キャンペーンを騙られて話題になった2社は、偽キャンペーンの存在を知った後速やかに消費者に対する注意喚起文書を公表しました。

即座に注意喚起を行うことによって、自社商品・ブランドの信用失墜を防ぎ、また、自社キャンペーンでないことを消費者に伝えることによって店舗やお客様窓口の負担を減らすことができます。

また、偽キャンペーンを行った運営会社に対し、直ちにキャンペーンの中止を求める文書を送付することや、違反の程度に応じて消費者庁などの監督官庁への告発も行うとよいでしょう。悪質な会社の場合は連絡先の記載がないこともありますが、ドメイン検索(Whois検索)を行い、ドメイン管理者・所有者から連絡先を辿ったり、リンク先から運営会社連絡先を調べたりすることが可能です。

今回のように、許諾なく社名やロゴを使用した偽キャンペーンは商標法ないし不正競争防止法違反が疑われますので、損害賠償請求、差止請求等の法的措置も検討することは可能ですが、実際に運営会社の責任を追及することはかなり困難です。

 

■偽キャンペーンに対する法的問題点と罰則

偽キャンペーンページでは、自社キャンペーンを騙られて話題になった2社のロゴと酷似したロゴが使用されていましたので、商標法違反ないし不正競争防止法違反となり得ます。

ニュースサイトにアップロードされた画像をみると、今回のポイント運営会社は不正競争防止法2条1項1号違反が疑われますので、5年以下の懲役もしくは500万円以下の罰金(法人については3億円以下の罰金)に処せられるおそれがあります(同法21条2項1号、22条1項3号)。

また、今回問題になったキャンペーンは、期間限定でなかったり、当選権利獲得の地位(とでも呼べばいいでしょうか)が付与されただけであるにもかかわらず当選したかのような表示になっていたりすることから、景品表示法5条2号、3号違反が疑われますので、課徴金納付命令(同法8条)や措置命令(同法7条)が下される可能性があります。

なお、ポイントサイトは、ポイント付与ないし当選権利獲得の地位付与に当たり、メールアドレス等の取得、メールアドレス等の他社への提供を行っていますので、特定電子メールの送信の適正化等に関する法律や、平成29年5月30日施行の改正個人情報保護法の適用を受け、悪質な業者には罰則が科される可能性もあるでしょう。

企業側としては、信用回復に不要なコストをかけないように迅速な対応が求められます。

一方、ポイントサイトを利用する消費者の方は、スマートフォン上の小さな文言をきちんと確かめるのは大変かもしれませんが、「うまい話」には裏があると思い、自分が利用登録しようとしているサービスの運営会社、利用規約及び同意する事項を確認し、また、運営会社や利用登録するサービス名をいったん検索エンジンで検索するなど、よく確かめてから利用してください。

 

*著者:弁護士 木川雅博 (星野法律事務所。通信会社法務・安全衛生部門勤務を経て、星野法律事務所に所属。破産・再生・債務整理を得意とする。趣味は料理、ランニング)

【画像】イメージです

*ささざわ / PIXTA(ピクスタ)

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木川 雅博 きかわまさひろ

星野・長塚・木川法律事務所

東京都港区西新橋1-21-8 弁護士ビル303

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