季節は冬本番。北海道や東北、北陸地方など雪が多く降る地域では厳しい寒さが続いており、最低気温が氷点下になることも少なくありません。
この季節は車のスリップや歩行時の転倒など、気をつけなければならない事がたくさんあり、その1つが、水が凍って雫が凍って棒状になる「つらら」。物によっては非常に鋭利になり、凶器になることがあります。
2016年1月には北海道の場外市場で遊んでいた小学生につららが刺さり、怪我をする事故も発生しており、ロシアでは、毎年約100人が亡くなっているそうです。
さて、つららによって怪我を負わされた場合、法的責任は誰にあるのか? やはり、建物の管理者ということになるのでしょうか?
三宅坂総合法律事務所の伊東亜矢子弁護士に見解をお伺いしました。
Q.つららによって事故が起きた場合建物の所有者が責任を問われる?
A.場合によっては責任を問われることもある
「建物に看板を設置するような場合と異なり、つららができるのは自然現象であり、その生成・落下による事故についてつららができた建物の所有者や管理者が必ず責任を問われるというものではないと思われます。
例えば、建物の構造上、つららが生成されやすく、落下すれば危険であることが明らかである場所につららを放置した、などの場合は責任を問われることがあり得るかもしれません。
通行人から見ても落下の危険が明らかな状態であればその下を通っていた通行人側にも一定の過失が認められる場合もあり得ると考えられます」(伊東弁護士)
やはり基本的につららは自然現象であることから、事故が起こったとしても建物の所有者や管理者が直ちに責任に問われることはないようです。
ただし、高層ビルなど落下によって重大事故が起こる可能性が極めて高いと思われるような場所の場合は、過失を認められる可能性があるとのことです。そのような事故に遭遇しないよう、個人が注意するしかありませんね。
*取材協力弁護士:伊東亜矢子(三宅坂総合法律事務所所属。 医療機関からの相談や、 人事労務問題を中心とした企業からの相談、離婚・ 男女間のトラブルに関する相談、 子どもの人権にかかわる相談を中心に扱う。)
*取材・文:櫻井哲夫(フリーライター。期待に応えられるライターを目指し日々奮闘中)
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