9月末に労災認定を受けた電通の過労自殺問題を皮切りに、次々と明るみになっている「違法残業」問題。
11月に入ってからは、従業員に対して規定時間を大きく超える違法な残業をさせていたとして、ティスカウントストア大手の「ドン・キホーテ」とクレジットカード大手である「JCB」に対して、罰金50万円の略式命令が東京簡裁から下されていたことが報じられています。
また、「ダンディハウス」などを運営するエステ大手「ミス・パリ」の静岡にあるグループ会社に対しては、残業代の不払いなどの違法な労働があったとして、静岡労働基準監督署から是正勧告を受けていたことが報道されました。
このような一連の流れは、企業が「労働基準法」を違反することに対する抑止力へとつながるのでしょうか? 難しい問題ではありますが、「企業に対する罰金の意味合い」という観点を軸に解説したいと思います。
■「罰金」の意味合いとは?
法定の労働時間を超過させて違法に残業させた場合や、違法に残業代を支払わなかった場合、労働基準法違反により、法人である会社に刑事罰が科されることがあります。
法人である「会社」自体に対する刑事罰としては、懲役を科すことができないため、罰金刑を科すことになります。
刑事罰は、当該会社が、労働基準法違反という刑罰法令違反を犯し、違法行為を行っていることを裁判所が認定することが前提となりますので、会社が違法行為を行っていることを明確に確定するという意味があります。
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