11月22日の「いい夫婦の日」にちなんで、天候も安定している11月に結婚式を挙げる夫婦が近年増えているようです。
当然、結婚すれば浮気などの不貞(不倫)が許されないことをご存じの方は多いかと思いますが、それ以外に結婚によってどのような義務や権利が発生するのか、詳しく知っている方は少ないのではないでしょうか。
そこで、今回は、結婚することによって負担することになる義務や、逆に結婚することで取得する権利について解説したいと思います。
■結婚によって発生する義務は色々ある
(1)同居、扶助義務(752条)について
夫婦は、同居して、お互いに協力し合わなければなりません。そのため、相手のことが嫌いになったから別居するなどして夫婦共同生活を一方的に放棄することは許されません。
もっとも、相手が当該義務に違反したからといって、それを強制することまではできません。
(2)婚姻費用分担義務(760条)について
夫婦は、保有する資産や収入等に応じて、婚姻から生じる費用(婚姻費用)を分担する義務を負っています。
分かりやすくいうと、収入の多い方の配偶者は、収入の低い方の配偶者よりも、夫婦共同生活から発生する費用を多く負担する義務を負っているということになります。
(3)日常家事債務の連帯責任(761条)について
夫婦の一方が「日常の家事に関して」夫婦以外の第三者と法律行為をしたことによって負担した債務については、夫婦の他方が連帯して支払う義務を負うことになります。
「日常の家事」に関する法律行為とは、「個々の夫婦がそれぞれの共同生活を営むうえにおいて通常必要な法律行為」(最高裁昭和44年12月18日判決)のことを指します。
そのため、不動産を買ったり、高級車を買ったことによって夫婦の一方が負担した債務については、一般的には夫婦共同生活において通常必要とは認められませんので、夫婦の他方としては、連帯支払いの義務を負わないということになります。
(4)貞操義務(770条1項)について
配偶者以外と不貞行為をしてはいけない、とういことを直接禁止する規定はありませんが、民法770条1項が不貞行為を離婚事由をしていることから、夫婦間においては不貞行為が禁止されていることは明らかです。
(5)未成年の子の監護義務(820条)について
夫婦間に未成年の子どもがいる場合、親権者である両親は、子どもを監護する義務を負います。
具体的には、夫婦の収入、資産の状況に応じて、子どもを育てていくために必要な費用(食費、養育費、学費等)を負担しなければならないということです。