先日、『Yahoo! JAPAN』を運営するヤフー株式会社が週休3日制の導入を検討しているとのニュースが話題となりました。ビジネスパーソンにとって、労働日と休暇制度は働く上で大切なルールです。今回は、中でも勘違いしやすい「休日振替」と「代休」について、ご紹介したいと思います。
まず、「休日振替」と「代休」の一番の違いは“割増賃金がもらえるかどうか”です。なお、「休日振替」とは休日を振り替えることで、「振替休日」が振り替え日として変更された休日を指します。
次のような具体的な事例を通して、混同されがちな「振替休日」と「代休」の違いを理解しましょう。
Y社で働くXさんは、Y社の就業規則で休日となっている日曜日に出社して仕事をしました。Y社は、Xさんに対して月曜日に休日を与えましたが、Y社は、Xさんが日曜日に仕事をする前に、あらかじめ月曜日を「振替休日」とはしていませんでした。そして月末の給料日になりました。Xさんとしては、休日に出社して仕事をしたので割増賃金をもらえると思っていました。しかし給料明細をみると、割増賃金になっていませんでした。
割増賃金をもらえなかったことに不満を抱いたXさんは、翌月会社を退職しました。退職直後、Xさんは、Y社に対して、休日労働をしたとして、割増賃金を請求しました。それに対してY社はXさんの意思に基づいて休日の振替を行ったと反論しました。Xさんの請求は認められるでしょうか。
■「休日振替」と「代休」の法的な効果とは?
この事例を解決する際に用いる法律は、労働基準法です。
労基法35条1項は、週1日の休日の付与を義務付けています。休日をあらかじめ特定することは労基法上求められていませんが、行政指導(行政のお願い)により就業規則(職場のルール)で休日が特定されています。
休日が特定されていても、経営者としては、納期や繁忙期には、休日に従業員に働いてもらう必要も出てくるでしょう。そこで、経営者が就業規則で特定された休日を他の日に振り替えることを命じることができるかが問題となります。
あらかじめ「振替休日」を指定したうえで、労働契約上特定されている休日を他の日(振替休日)に変更することを「休日振替」といいます(岩出誠『実務・労働法講義〔上巻〕』)。
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