少子化対策が日本の重要課題である現在において、出産を控えた女性社員に育児休業をしっかりと取得させるのは職場の義務になっています。
しかし、法律で義務付けられているとはいっても産休または育休から、職場復帰の前後には労使間のトラブルが非常に起きやすいタイミングであることも事実です。
そこで、産休や育休を取得するにあたって起こりうる、「休業前の解雇通告」「申請後の解雇通告」「育休申請の拒否」といった3つのケースにおける労務トラブルとその解決策について、三宅坂総合法律事務所の伊東先生にお話を伺いました。
①産休前に解雇されてしまったら?
女性にとっては産前休業に入る前から、特に安定期に入る前などはつわりなどで体調を崩しやすく、欠勤しがちになるケースも多くなります。欠勤が多いことを理由にこのタイミングで解雇されてしまった場合、法律上解雇の無効をどのように訴えるべきでしょうか。
「事業主は、その雇用する女性労働者が妊娠したこと、妊娠又は出産に伴う症状によって仕事ができなくなったり、パフォーマンスが低下したりしたこと等を理由として、解雇その他不利益な取扱いをしてはならないとされています。よって、つわりなどによる欠勤を理由に解雇されてしまった場合、法律違反であり解雇は“無効である”と主張することができます。」(伊東弁護士)
具体的な解決策としては、以下の方法などが考えられます。
・ 労働局に紛争解決援助を求める
・ 裁判所に労働審判又は裁判を提起する
産休前の症状を理由として解雇など不利益な扱いを受けたとしても、法律の保護の対象になるのですね。
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