成田離婚というように若くして離婚する夫婦もいますが、夫の定年退職後に離婚するような「熟年離婚」が近年の人口高齢化もあって増加しています。法的な対処方法は基本的に同じですが、熟年離婚特有の問題もあります。
離婚する際に決めるべき問題は、親権、養育費、面会交流、慰謝料、財産分与、年金分割などがあります。
親権、養育費、面会交流は、子供が未成年の場合に問題になるもので、熟年離婚の場合にはほとんど問題となりません。今回は要素が多岐にわたるため、もっとも深刻な問題となるケースが多い慰謝料に絞って、解説していきたいと思います。
■結婚生活が長くなると、慰謝料を決める要素も複雑に
慰謝料を決める要素は、離婚原因、夫婦関係の長短、有責性の有無など、多岐にわたります。
熟年離婚の場合は、長期間にわたる夫婦生活が慰謝料算定の基礎となりますので、争いの範囲が広がります。離婚訴訟になると、夫婦の出会いから今までの事情について、事細かに言い争うことになります。新婚旅行の態度とか、子供が生まれた直後の態度とか、何十年も前のことが争点となります。ある意味、記憶力の勝負となります。
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